くろにゃんこの読書日記

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江戸の笑い 少年少女古典文学館 24 興津要

2006年04月02日 | 国内文学 その他
この前読んだ小泉八雲「怪談・奇談」には、「狢」という話があります。
いわゆる<のっぺらぼう>で大変有名なお話ですから、
知らない人はそうはいないと思います。
ジブリのアニメ「平成たぬき合戦ぽんぽこ」にも
「こんな顔だったかい?」
というシーンがあるくらいです。
私が、この話を最初に知ったのはいつだったか忘れましたが、
やはり小学校とか、そのあたりだと思うんです。
だから「狢」はとても怖い話だと思っていたんですね。
角川版「怪談・奇談」を読んだときも、怖い話のひとつだと思って読んだわけです。
ところが、学術文庫版を読んでみますと、なにやら滑稽で笑えることを発見したのです。
どうして?
解説を読んでみますと、「狢」の原拠は「百物語」となっています。
百物語といえば、怖い話を一夜にして百話話し、一話ごとにろうそくを吹き消していって、
最後の一本を吹き消したときに、大変怖いこと(大きな音や風が巻き起こるとか)が起こるというあれです。
古典の怪談話が子供のころから好きだった私は、
もちろん小学生のころに「百物語」をジュニア版で読んでいます。
しかし、この「狢」(実際には狢ではなく獺)が収録されている「百物語」は、最後の一本を吹き消すと、たんすに目鼻が現れて「なんだんす」としゃべり出す。
講談風の怪談を百本集めた「百物語」なのだそうです。
これは面白そうだと思って、いろいろ探してみたのですが、
これに相当するようなものが見つかりません。
こうなったら落語路線で探してみようと図書館で右往左往してにたところ、あまりこれという本が見つからず、結局借りた一冊は、児童向けの古典を扱うコーナーから借りた本書でありました。

本書は古典落語、江戸小咄、黄表紙、川柳、狂歌を初めて古典に触れる子供たちのために、簡単でわかりやすい解説をところどころに入れてある読み物ですが、落語風な語りを壊さず、現代的過ぎないように気を配ったもので、古典を読めない大人でも十分に楽しい一冊です。
落語といえば、昔から「笑点」というTV番組がありますね。
私の実家では、日曜日の5時半からは必ず「笑点」を見ていました。
だから、落語に触れる機会も子供のころからあったのですが、面白いとは思っても、積極的に好きだったわけではなく、なんとなく眺めていた程度でした。
それでも、落語風の語り口は覚えているもので、この本を読みながら、
噺家の語りをイメージしていました。
それに、著者の江戸の笑いに対する愛情も伺えます。
もっと、読みたい。
ということで、本書の著者、興津要氏で検索してみますと、あるじゃあありませんか、
「古典落語」という本が。
しかも、講談社学術文庫。
すごいぞ、講談社学術文庫!

江戸の笑い
古典落語


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