夢中人

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論者

2013年03月13日 | Weblog
猪瀬直樹さんの「東京の副知事になってみたら」を読みました。

東京の副知事になってみたら(小学館101新書)
猪瀬 直樹
小学館


猪瀬さんは、現東京都知事という政治の現場にいらっしゃいますが、元のご職業は作家さんみたいです。猪瀬さんが副知事の時の知事だったのが石原慎太郎さん。石原さんも政治家と作家という(それ以外にもありそうな感じですが)面をお持ちの方。テレビ画面から見ていると、お二方ともご自身の「風」を持っているなと感じます。まさに風雲児という言葉が当てはまるようです。
お二人の共通点は「作家で政治家」であると思うのですが、今までも(今も)政治家意外の方々が政治に風を吹かせています。その方々は経済学者さんや政治学者さんであって、その方々が政治に風を吹かせるというのは理解しやすいかと思うのですが、「作家」というご職業の方が、なぜ政治に風を吹かせることができるのだろうかという少々の疑問がありました。

猪瀬さんの本を読んだのは、まだ2冊目です。2冊読んで思ったことは、読みやすくてわかりやすいということ。猪瀬さんだから難しいんだろうなという予想に反して読みやすい。書かれている文章が場面というか映像になって伝わってくる。臨場感。まさに伝える力でしょうか。書かれてあることも(まだ2冊目ですが)、難しいことではなくて生活のことだと思う。それも詳しく数字などで説明してありつつも、文章の端々にハッとさせられるような芸術を感じさせる日本語表現がされてあると思う。
これが作家の技なのか。。。本の中には、「僕は作家として、作家だからできることを考えた。直感の力、記録し伝える力、という武器を駆使した。」とあった。それが作家なんですね。

猪瀬さんの本の中に「設計図」という言葉がありました。この設計図という言葉が妙に気になる。
設計図・設計した建造物・機械などの形状・構造・寸法を一定のきまりに従って記した図面。とありました。
そして、漢和辞典を引いてみました。その取り上げてみた字は「設」。


設・セツ もうける1もうける(まうく)イならべる。つらねる。「陳設」ロそなえつる。「施設」ハおく(置く)。「設置」二たてる(立)。「設立」2こしらえ。また、そなえつけたもの。3うたげ(宴)。ごちそう。4前もって用意する。準備5おおきい(大)。また、大きくする。6あわせる(合)。7むさぼる(貪)。8もし。かりに。たとい。仮定のことば。「仮説・設使・設令・設為」などもみな、「もし・たとい」と読む。○おき・のぶ・設楽
(解字)原字は形声。「 ケツ(転音セツ)はくさび・くい(楔セツ)で、また、音符。 はかけや。「 は手。かけやで杙くいなどを打ち込むことで、土建(建設)の仕事をする意。 の形が変化し、やがて と書き誤られ、設となった。
「陳設」とは供物を供えること。これはですよ、言葉を言い並べる。言いつらねるということで、言葉を神に供えているのではないのでしょうか。また「設楽」というのは平安時代に疫病の流行をのがれるために民衆が信仰した神とされる設楽神のことなのかな。なにか宗教的な意味合いもある文字かな。
 は と書き誤られたとありますが、 書き誤ってないんじゃないかな。「 は「言」。
「言う」という道具で組み立てていく、それは議論のことかな。「論」に繋がっていくんだ。

論・(一)1あげつらう(あげつらふ)イ言い合う。議論する。理非を弁じあう。討論する。ロ可否を言いたてる。評論する。ハ意見を集めて定める。議定する。ニ罪をさばく。判決を下す。2あげつらい。見解。主張。所説。「論議・評論」3はかる。イ考える。思いめぐらす。ロ計りくらべる。ハおしはかる。推量する。ニ計りくらべて判断する。おしはかって判断する。ホたずねる。4とく(説)。イ道理をとく。ロ述べる。語る。談ずる。ハときあかす。5文体の名。自分の意見を主張し述べる文。6論語の略。7(仏)論蔵の略。三蔵(経・論・疏ソ)の一。仏の教えについて弟子たちは述べた語。(二)すじみち。=倫。○とき・のり
(解字)形声。言が意符。侖ロンが音符で、また、すじみちの意を表す。すじみちを立てて述べること。

「論」や「倫」に使われてる「侖」。

侖・(一)(二)1おもう(おもふ・思)。2すじみちをたてる。3まるい。
(解字) 会意。 (集める)と冊(書物の簡ふだ)との合字。書物の簡を集めて順序だてる意をあらわし、すじみちをたてる・すじみちの意に用いる。

これからするとですよ、猪瀬さんは作家と言われていますが、それは今風の言い方であって、本来は「論者」という存在なのではないのでしょうか。本にいろんなタイトルがついているけれども、それは全て「猪瀬直樹論」ということなのですね。

ツイッターを観ていると、「ミカドの肖像」「土地の神話」「欲望のメディア」三部作として読むと理解が深まるとあります。この三作を読む事によって、ある一つの猪瀬直樹論がわかるということなんですね。
今手元に「土地の神話」「欲望のメディア」はあります。「ミカドの肖像」は確か上下巻だったな。こういう時って、読む順番もあるのでしょうか。

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