あなたがたの手から
したたり落ちてゆく
白い夢を失うことに
逆らわず 受け入れていきなさい
あなたがたは知らなかったが
それはあなたがたのものではなかったのだ
遠い海の中に生きている
美しい水の子の持ち物だったのだ
金の短剣を捨て
人魚姫が泡となって消えた時
だれかが自らの喉を
小鳥のように鳴らして
すべての終わりをあなたがたに知らせようとする
川が 逃げてゆく
山が 背を向ける
海が 牙を見せる
あらゆる愛が
唇から棘を吐くように
人間を馬鹿にし始める
豊かな未来世界を思い描いていた
紙芝居を風呂の焚き付けに燃やし
禁止されていた歌を浴びるのをやめ
希望の光を行く手に見ることを
あきらめなさい
希望は消えるのではない
あなたがたはこれから
全くちがうものになっていくのだ
故にあなたがたの希望も
全くちがうものになっていくのだ
人間よ
全てが変わり
全てが全く意味のないものに
落ちてしまう
黄昏の呼び声が
あなたがたの腕に絡みつく
帰りなさい
なにもかもを捨てて
帰りなさい
いやだいやだと暴れているうちに
道はどんどん遠くなってゆく
哀れにも
馬鹿者よ
もうすべてを捨てて
己一つを頼りとして
生きられるところに
帰ってゆきなさい
心の庭の鍵を開け
要らないものはすべて捨て
喪失感を涙で洗いながら
自分で生きてゆきなさい