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月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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プルケリマ・8

2015-06-20 05:29:16 | 詩集・瑠璃の籠

紫色の顔をした人間が
七色で七本の舌を踊るように操り
まるで鈴のようなかわいい声で
からっぽの嘘を平気で言う

愛してもいないのに
愛しているという
お前なんか死んでしまえと
思いながら
おかげんはいかがですかと
笑いながら言う
すばらしい作品ですね
と言いながら 心の中で
へたっぴめ わたしのほうが上手よと
言っている

明らかにばれる嘘に気づいてしまうと
全てが壊れてしまうので
人は感性に鍵をかけて
何にもわからなくして
これですべてが 幸福なのだと
そう思うことにしているのだ

みんなで 見えない手をつないで
巨大な輪を作り
かごめかごめを歌いながら回る
だけど鬼はどこにもいない
みんな 鬼になるのだけはいやだからだ

だれかが だれかが
助けてくれないと
永遠に かごめかごめは終わらない
鬼がいないと 終わらない
人間は 回り続ける
みんなで一緒に手をつないで
回り 回り続ける

みんなで回ろうね そうすると幸せなんだ
みんないっしょだから
みんな同じだから
みんな みんなといっしょだから
幸せ なんだよ
しあ わせ なんだよ

疲れ果てて 死ぬまで
続けるつもりか
ああ あまりにもひどい
無念の遺体があちこちの山に
無数に埋もれている
あれがすべて おまえたちがみんなで鬼にして
殺した人間の骨なのか

やらねばなるまい
だが これが終われば
わたしはすぐにはるかかなたへと帰り
二度とここに来はすまい
二度と見たくはない

呆れかえる馬鹿よ
永遠のかごめ遊びを
自分で止めることができないのなら
わたしがいっぺんにほどいてやろう
だがそのあと
おまえたちは自分の正体に気づく
誰とも同じでない 全然みんなと違う
本当の自分に気づく
それがあまりにも 醜い
あまりにも さびしい

未来を見る目をしばし盲にし
あらゆることをやってゆく
すべては今まさにやらねばならないことが
明日に続く壁を砕いてゆく

かごめ遊びは反転し
猿だんごのように固まった馬鹿どもの周りを
鬼がひとりで回り始める
鬼が不思議な顔をしていう
なんであれは 自分で何もやらないのか
あれは何なのか
にんげんなのか

いいや 
あれはもう人間ではない





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