ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

円錐切除後妊娠の取り扱い

2011年09月21日 | 周産期医学

****** 産婦人科診療ガイドライン・産科編2011

CQ503 子宮頸部円錐切除後の妊娠の取り扱いは?

Answer

1. 早産ハイリスク群と認識する。(A)

2. 早産徴候(頸管長短縮、子宮収縮等)に注意して管理する。(B)

3. 頸管長短縮例では治療的頸管縫縮術を考慮する。(C)

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1.の解説 

・ 円錐切除後の妊娠では早産率が8~15%であり、対照群の1.5~3倍と有意に高く、児が低出生体重児となる頻度も約2~4倍増加する。

・ 帝王切開や前期破水が前期破水が増加することも報告されている。

・ 早産率の増加はコールドナイフ法、レーザー法、LEEP法でも差異はなく、切除した頸部組織が大きいほどリスクが高い。レーザーなどによる蒸散法では早産率は増加しないという報告が多いが、増加したという報告もある。

2.の解説

・ 円錐切除後妊娠のうちでも、24週までに頸管長25mm未満であった場合は有意に早産率が高いという報告がある。

3.の解説

・ 円錐切除後妊娠に対する予防的頸管縫縮術に関しては、これを施行してもしなくても早産率の差異はなかったという報告があり、全例に行う必要はない。

・ 頸管長が30mm以上の場合は経過観察とし、頸管長が短縮している場合に頸管縫縮術の適応を考慮する。

・ コールドナイフによる円錐切除後には分娩時に頸管裂傷の頻度が7倍上昇するという報告がある。