ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

医師の都市集中、専門領域の偏在化

2006年02月02日 | 医療全般

もれ伝わってきた噂では、(はっきりした情報ではありませんが、)全国の大学の産婦人科に新規に入局を予定している者(医学部卒業後3年目)は、今のところ全国で約120人程度と聞きました。東京都内の大学で10人以上の新規入局者を集めた産婦人科医局が東大(新規入局者は13人とのこと)など3大学あり、京大産婦人科の新規入局者が10人との噂です。そうすると、単純に考えて、地方の1県あたりの産婦人科新規入局者数は0~2人程度と推定されます。

ちなみに、本県唯一の医育機関である国立S大学医学部の産婦人科新規入局者数は、みんなで必死に勧誘して今のところ3人、当初の目標よりははるかに少ない数字ではあるけれど、まあまあ地方大学にしては健闘している方と言わざるを得ないような状況です。

噂では、小児科の新規入局者数は、今のところ全国で100人程度らしく、産婦人科よりもさらに深刻な状況に置かれているようです。産婦人科、小児科、麻酔科などは、全国的に専門医数が大幅に不足していて非常に困っている現状がありますが、そういう科ではそもそも新規入局者数が極端に少なくて、将来的にも人手不足はますますひどくなってしまうことが危惧されます。

新規入局の志願者が多すぎて、志願者の全員はとても面倒をみきれないので、新規入局者数を大幅に制限して、志願者の多くを断っているような科も中にはあると聞いてます。

このまま放置すれば、医師の都市集中、専門領域の偏在化は、今後ますます顕著となってゆく一方と考えられます。 自然に任せていたんでは今後ますます状況が悪化してゆくのは明らかなので、国策として、これを是正する何か抜本的な政策が必要だと思われます。