紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

昨日の続きですよ。ウィントン・ケリー~ケリー・グレイト

2008-03-12 23:00:36 | ジャズ・ピアノ・コンボ
さーて、昨日の続くを行きましょう。
この盤は、This is hard bapと言って良いぐらいに、傑出した名盤です。

このスーパー・メンバーによる、ハード・バップの宴を紹介しましょう。

演奏について…1曲目「リンクルズ」…「ケリー」のマイナー・ブルーズのチューンに導かれて、「モーガン」がミュートで、実しやかなアドリブ・ソロを決める。
「チェンバース」と「フィリー・ジョー」によって司られるリズム・セクションも完璧なアシストを見せる。
「ケリー」は、しばしブロック・コードで伴奏に従事するが、その伴奏にもファンキー&バップの精神が脈々と流れている。
「ショーター」のテナー・サックス演奏は、「マイルス・バンド」時代には考えられない程、バッピッシュで、うねるフレーズを用いるパートも有るが、基本的には(遠慮がちに?)バップ精神に即して、フレーズを選びながら吹いている感じがする。
しかし、こう言う、初々しい「ショーター」にも、別顔の魅力と新たな発見が有って、大いに有りの演奏です。
「ケリー」のソロは、全く言うこと無しで、ファンキーバリバリ、バップ万歳の代表的な演奏がなされる。
1曲目から、名盤に偽り無しの名演です。

2曲目「ママ・G」…いかにもファンキー&バッピーなイメージのユニゾン演奏から、こいつらの世界にトリップだ!
「モーガン」は、のっけからオープン・トランペットでバリバリ吹き、「フィリー・ジョー」も軽快に皆を煽りつつ、知らぬ間にドライヴィングしている。
ここでの「ショーター」は、かなり彼の個性をひけらかして、モード吹きが顔を出していて、いよいよ若者が主張を始めたと見える。
やっぱり若者はこうでなくちゃ!
「ケリー」のファンキー節は好調で、バタ臭さと、ハイセンスが程好くブレンドされた演奏がgoodです。
フィニッシュは「フィリー・ジョー」のハード・ドラミングと「モーガン」のフルパワー演奏で〆になるんです。
皆、good jobですよ!!

3曲目「ジューン・ナイト」…序奏から「モーガン」の演奏が、かなりモード調で、「マイルス」めいていて、一言で驚き!です。
ミュートで、渋~く、センシティブに魅惑のフレーズを吹いてくれます。
「モーガン」っぽく無いけど、これはこれで有りですねぇ。
「ショーター」は各フレーズを長めに取る所と、「コルトレーン」的に、シーツ・オブ・サウンドの様に、細かなフレーズを速射砲の如く吹く所の両面で攻めてきて、3曲目にして本性を完全に表しやがったかって感じです。
「ケリー」は、若者二人のアグレッシブさを見て、逆に遊んでいます。
いかにもバップ調で、シングル・トーンはどこまでも軽やかに…さりげなく魅力あるフレーズをチョコッと弾いてくれるんですね。
この辺は、精神的な余裕とベテランがなせる業でしょう。

4曲目「ホワット・ノウ」…この曲は良いですよ~!!
特にブルー・ノート好きな諸氏には、お薦めの1曲です。
マイナーで、ファンキーで、ブルージーで、どことなくエロティックで…もはやブルー・ノートその物なんではないでしょうか?
「モーガン」のファンキー全開のソロと、「ショーター」の「マクリーン」的なトーンで吹くフレーズ(アルトとテナーの違いこそあれど…)も、バッチリマッチしているんですよね。
「ケリー」もここでは、マイナー・フレーズを連発して、ファンキーさとブルージーさをより出してきます。
「チェンバース」は、ソロでボーイングを繰り出して、もはや、いや、紛れも無くブルー・ノートそのものの演奏でしょう。
考えて見たら、この5人(クインテット)って、ブルー・ノートとプレスティッジのスター・プレイヤーの共演なんですよね。
悪い訳が無いですよね。
もう一つ、当たり前ですけど、「モーガン」以外は全員、全盛期の「マイルス・コンボ」の出身なんですよね。
これまた、またまた、悪い訳が無い!!

5曲目「シドニー」…短曲ですが、「モーガン」と「ショーター」が、静寂のラスト・ナンバーを決めて、こう言う(アルバムの)エンディングも確かに有りだと思わせるハイ・センスに脱帽です。
敢えて、ファンキー&バップを封印して、静寂のバラッドで〆るのは、このメンツ…やはり只者ではないねぇ。
「ケリー」のソロでの悲しげなマイナー・フレーズも光っています。
流石、名盤…どこを切っても美味しいです。
お後が宜しいようで………。。。


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