紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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中庸…自然体…無骨…厳格…ヨッフム指揮/ドレスデン・シュターツカペレ~ブルックナー交響曲全集

2008-05-03 23:38:49 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
今日も以前紹介した、(HMV)発売の超廉価、名盤全集の一つから、「オイゲン・ヨッフム」指揮、「ドレスデン・シュターツカペレ」の「ブルックナー交響曲全集」を紹介します。

その全集から、1曲代表して、「交響曲第4番変ホ長調」「ロマンティック」を取上げましょう。

スコアは「ヨッフム」お気に入りの「ノヴァーク版」を採用していて、いかにもドイツ交響曲とも言うべき、無骨、厳格でいながらも、自然体で中庸の美学を表現してくれてます。

アルバムタイトル…ブルックナー交響曲全集

オイゲン・ヨッフム指揮
ドレスデン・シュターツカペレ

1975年~1980年 ドレスデン聖ルカ教会にて録音

原盤…英EMI 
CD番号…5-73905-2 ※輸入盤(9枚組)

演奏について…今回はこの全集から代表して、ブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」をセレクトしました。

交響曲第4番「ロマンティック」…第一楽章では、比較的ゆっくりなテンポで、この曲の厳格さと雄大さを余すところ無く伝える。
このアルバムでの「ドレスデン・シュターツカペレ」の音色は、(録音機器&技術や、収録場所(教会)の影響も無いとは言えないが、同時期の「ブロムシュテット」が演じた「第7番」が極めて透明感が高かったのに比較して)、かなり色付けがなされている。
と言っても、とても渋く地味な単色で、例えるなら、銅色(ブロンズ・カラー)或いは、燻し銀色(ガンメタリック)が、一番相応しい色だと思う。
金管楽器群は、華やかなイメージよりも、かなり(音の)光を抑えて、輝かしい音色ではなく、ブロンズ像の様に抑えた色だが、完成された美があるんです。
そして、何よりも清楚な神々しさと尊厳が有って、(「ブルックナー」と「ヨッフム」、そして「ドレスデン・シュターツカペレ」の)ゲルマン魂を味わえる。
決して派手な演奏では無いが、一切の手抜きは無い。
これぞ職人技ですね。

第ニ楽章では、「ヨッフム」の構築する「ブルックナー」像に小宇宙を見る。
決して威張っていたり、肩肘張ったりしている訳ではないが、演奏に尊厳・威厳が充満している。
「ブルックナー」を語らせたら、日本一…いや、世界一?の「宇野功芳」先生が3大「ブルックナー指揮者」を挙げているが、確か「※クナッパーツブッシュ」は別格として、この演奏を振っている「ヨッフム」、それから「シューリヒト」、そして、「朝比奈隆」だったと思う。
彼らに言えるのは、「ブルックナー」の音楽(曲)に対して、自発的な真っ向勝負はしない…自然体に任せて、スコアと「ブルックナー」に身も心も任せているんです。
宇野氏に因れば「ブルックナー」演奏とは絶対的にそういうものだそうです。
それでいて、この「ヨッフム」演奏の終盤の盛り上がりはすごいです。

第三楽章…この交響曲の中で、一番変化に富んだ楽章ですが、「ヨッフム」は自己主張しすぎず、しかし的確に緩パートと急パートの対比を描き、第二楽章同様に、あくまで自然体で「ブルックナー」像を構築します。
「ヨッフム」流のスパイスが効いているのは、ゲルマン魂のみでしょう。
無骨で、ストイックで、職人気質で、あくまで精神的なエッセンスだけを、香とスパイスとして用いているんですね。

第四楽章…自然体で貫いている「ヨッフム」では有るが、この終楽章は、迫力のコーダを擁する所から「ドレスデン・シュターツカペレ」の集中力と緊張感が半端でない。
つまりオーケストラの自発性が、抜群に発揮された楽章&演奏になっているんです。
マッシブなフル・オーケストラ時の迫力はバッチリだし、ピアニシモでの静寂の緊張感も秀逸です。
それでも「ヨッフム」はずっと自然体で…流れに身を任せています。
これは、大河、ライン川の流れそのものなんでしょうか?
厳しさ、激しさは有るんですが、あくまでも自然的な厳しさなんですよ。
絶対に自然に逆らってはいけませんね。例え音楽であっても。
「ブルックナー」&「ヨッフム」は、それを良く判らせてくれますよ。


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