紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

超人的テク、切味抜群…ハイフェッツ/ミュンシュ&ボストン響…メンデルスゾーンVI協奏曲

2008-04-10 23:44:30 | クラシック交響曲・管弦楽曲・協奏曲
生涯不敗…かの剣豪「宮本武蔵」が、剣をヴァイオリンに持ち替えて、生まれ変わったとしたら…???
多分、今日紹介する、二十世紀最高…いや、史上最強のヴィルトオーゾ・ヴァイオリニストの「ヤッシャ・ハイフェッツ」ですよと言っても、誰も否定できないでしょう。
いや、むしろその通りですと、肯定してくださる方も多いのでは?と思います。

それぐらい、彼のヴァイオリンは切味抜群で、完璧無比な技術を持ち得ているんです。
逆に余りにも完璧過ぎて、冷たいとかロボットの様な演奏だと揶揄された事もあるぐらいで…しかし、それでも「ハイフェッツ」の遺した演奏はどれもすごく、歴史的な意義が有るんです。

その中でも、曲的にも最もポピュラーで、指揮者、オーケストラの演奏(伴奏)を加味してベスト1的なレコードは?と問われれば、第一に候補に挙がるのが、この演奏、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲でしょう。

録音こそ、いかんせん古いので、良いとは言えないですが、それでも…この超名演が色褪せる事は絶対に無いと思います。

20世紀の奇跡…いや、「ハイフェッツ」ならば、普段の演奏・実力を是非味わって下さい。

アルバムタイトル…ハイフェッツ(vl) ミュンシュ指揮・ボストン交響楽団…メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲ホ短調 作品64

1959年2月23日、25日 シンフォニー・ホール ボストンにて録音

原盤…RCA RED SEAL 輸入盤(オリジナル・ジャケット・シリーズ)
CD番号…LSC-2314

演奏について…まず、最初にお断りしておくと、このCDオリジナル・ジャケ・シリーズも、先回ご案内させて頂いた、激安の輸入廉価盤、全集の内の一つで、超人「ヤッシャ・ハイフェッツ」の超名演・名盤の10枚組セットが、わずか五千円そこそこで、手に入るのである。
全く驚きの一言で、正直、有り得なーいと思うが、紛れも無い事実なのだ!!!

さて、演奏について言えば、全体的に早めのテンポで、第1楽章から第3楽章まで、ぐいぐいと進む。
「ハイフェッツ」の演奏技術は、勿論、完璧で、研ぎ澄まされた一音一音が、キリリと立って、冴えた音色で、そのコンプリート演奏を成し遂げる。

サポートする、「シャルル・ミュンシュ」と「ボストン・シンフォニー・オーケストラ」も、早めの演奏に微塵も遅れず、いや、むしろ「ハイフェッツ」を煽るぐらいに、ドライブ力に溢れた、力演をしている。
この頃の「ボストン響」は、「ミンシュ」と言う、名オーケストラ・ビルダーに扱かれ、育てられた為に、素晴らしい技術を持った、一流オーケストラになっており、「ハイフェッツ」と言う稀代の名人、ソリストのサポーターとして、申し分の無い伴奏をしてくれます。

それから、「ハイフェッツ」の演奏は、完璧過ぎて面白くないと思う人も、多いかもしれないが、それは間違いです。
完璧な演奏技術に裏付けされた、確かな音楽スピリットが、青白く、(実は激しく)燃え上がっていて、そうですね…ジャズ・トランペッターで言うなら「マイルス・デイヴィス」の、(マラソン・セッション時代?の)冷めた(完璧な)演奏に近いと言うと分かり易いかもしれません。

無機的な様でいて、実は深く、静かに燃えているんです。

多分、「宮本武蔵」も、剣客と言う冷静さの中に、誰にも絶対に負けないと言う、確固たる自負と信念を持っていたと思われます。

「武蔵」の生まれ変わり?「ハイフェッツ」であれば、当然同じ精神構造であったはずです。

研ぎ澄まされた演奏の中に、自然や美、そして人間愛がさりげなく隠されていて…シャイな「ハイフェッツ」は、それをテクニックを見せ付ける事によって、ひっそりと隠しているんです。


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2 コメント

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ミュンシュは熱演家です (アマデウスレコード)
2008-04-11 04:44:17
おはようございます。突然朝早く失礼します。
トスカニーニとのベートーヴェンを取り上げる準備中でしたので、見出しが目にとまりお伺いしました。
本当、ミュンシュはぶんぶんタクトを振り回す情熱家ですね。パリ管とのベルリオーズ(フランス盤ではありませんよ)やブラームス(こちらはカナダ盤のリヴィング・ステレオでしたけれども)で感動しきり。どうも日本での評価とはずれがあるような感じです。ところで反論ではありませんので誤解を恐れずお伝えしますが、マイルス・デイビスのオリジナルはとてもソフトで丸いトランペットです。冷ややかだったり、逆に出しゃばるような吹き方ではないですよ。
初対面なのに、朝っぱらからすいませんでした。またのぞかせていただいてもよろしいですか。
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アマデウスレコード様、コメントありがとうございます。 (えりっく$Φ)
2008-04-13 01:14:04
初コメントありがとうございます。
「ミュンシュ」の熱いサポートが、クールな「ハイフェッツ」との対比がなされていて、この「メン・コン」の価値を倍増させているんでしょうかね?
いずれにせよ、ソリストでは無く、敢えて、バック(伴奏)のオケや指揮者に耳を向ける聴き方も当然、有って然るべきだと、私も思います。
ところで、「マイルス」の音色ですが、「ブルー・ノート」や「米CBS」のオリジナルLPを聴けば、温かいソフトな音なんでしょうけど、やはり他者、例えば「アート・ファーマー」や「ケニー・ドーハム」から比べれば、「マイルス」の音は大分クールと思いますし、「L.モーガン」や「C.ブラウン」の炎のトランペットと比べても、やはり(音の)体感温度は低いと思いますが…いかがでしょう?
また、是非コメントをお待ちしております。
今回はありがとうございます。
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