紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ライブ・パフォーマンス…アローン・トゥゲザー~ジム・ホール&ロン・カーター・デュオ

2007-07-18 23:36:02 | ジャズ・ギター
聴衆がおそらくお酒を飲みながら寛ぎのジャズ・ライブを堪能する…。
このアルバムは、こう言うシチュエーションで録られた、ニューヨークの「プレイ・ボーイ・クラブ」でのライブ録音である。
演奏しているのは、稀代の名手二人…白人ギタリスト、「ジム・ホール」とベースの巨人「ロン・カーター」である。
一聴して頂ければ、このデュオアルバムの良さはすぐに分かります。

では詳細を説明します。

アルバムタイトル…「ジム・ホール…ロン・カーター・デュオ」

パーソネル…ジム・ホール(g)
      ロン・カーター(b)

曲目…1.セント・トーマス、2.アローン・トゥゲザー、3.レシート・プリーズ、4.四月の思い出、5.朝日の如くさわやかに、6.フーズ・ブルース、7.プレリュード・トゥ・ア・キッス、8.枯葉

1972年8月4日、プレイボーイ・クラブ(NY)でのライブ録音

演奏について…ソニー・ロリンズの名曲「セント・トーマス」から、このアルバムはスタートするが、陽気な曲調に導かれた二人の溌剌としたデュオが聴き物で、グラスの音が所々で聞こえる、聴衆への掴みはOKです。

表題曲、「アローン~」では、渋さの極めの様な演奏で、ハンフリー・ボガードのハード・ボイルド映画の様に、正に男の哀愁が漂う演奏がなされている。

「カーター」のオリジナル曲「レシート・プリーズ」では、二人の輪唱の様なアドリブでの絡みが素晴らしく、取分け作曲者「カーター」は寛容さが溢れ出た名演をしている。

4月の思い出では、「カーター」が太くカッチリとしたベースラインでリズムを固めて、「ホール」は魅惑的で、イマジネイティヴなアドリブを弾いて応戦するが、取分け曲後半の「カーター」のベースソロは、カッコイイの一言で済ませられる程の名演と言えるでしょう。

5曲目「朝日の~」は、ややミドルアップテンポで曲が進み、二人の絡みもいよいよ加熱して来て、特に「カーター」は学者らしからぬ?演奏ファイトを見せ始めるが、「ホール」は知的さと遊び心を兼ね備えた演奏で、エキサイトはせずに、冷静に対処するのが、いとおかし。

6曲目「フーズ・ブルース」は「ホール」のオリジナル曲で、スローテンポのジャズ調ブルース曲。
「ホール」はとてもブルージーでジャジーなソロを弾くのだが、「カーター」がここでは、逆に受け流し気味に、しかしアクセントを作った伴奏とソロをかます。
アルバム収録曲中、最もジャズテイストの濃い名演奏です。

「プレリュード~」は色香漂う、とてもチャーミングな演奏で、クラブに来ている同伴の女性は、ほんのりと酔いがまわり、「ホール」の優しき調べによって益々酔わされて行く。
「カーター」のベース音も優しく体を支えて、悦楽の境地に達するようです。
エンディングのユニゾンで、心が昇天してしまいそう。

終曲「枯葉」は二人の掛け合いが見事で、特に中盤からは、奏でる一音一音がまるで「対話」のように演奏され、ジャズ・デュオの醍醐味を満喫できる。
弦楽器同士ならではの優しさが込められた音色のバトル演奏が、とても心地よい。
個人的に大好きな曲と言うのも有るが、アルバム中ベスト1の演奏だと思います。


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