紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ヴァーブ・スターズの競演…スタン・ゲッツ・アンド・J.J.ジョンソン・アット・ジ・オペラ・ハウス

2008-03-31 12:09:03 | ジャズ・コンボ
ヴァーブ・レーベル所属のスーパー・スター達が競演したライブアルバムが今日紹介するこのアルバムです。

演奏者、演奏曲とも魅惑的で、正にヴァーブ・ジャズ芸術の最高峰の一つでしょう。
今宵は彼らのパフォーマンスに酔い知れて下さい。

それと、もう一言…実はこのアルバム、CD化に際して、2種類のコンサートのライブ録音を収録していて、聴き比べやミュージシャンのアプローチの違いを味わえる、お得なアルバムになっています。

アルバムタイトル…スタン・ゲッツ・アンド・J.J.ジョンソン・アット・ジ・オペラ・ハウス

パーソネル…J.J.ジョンソン(tb)
      スタン・ゲッツ(ts)
      オスカー・ピーターソン(p)
      ハーブ・エリス(g)
      レイ・ブラウン(b)
      コニー・ケイ(ds)

曲目…1.ビリーズ・バウンス、2.マイ・ファニー・ヴァンレンタイン、3.クレイジー・リズム、4.ブルース・イン・ザ・クロゼット、5.ビリーズ・バウンス、6.マイ・ファニー・ヴァレンタイン、7.クレイジー・リズム、8.イエスタデイズ、9.イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド、10.ブルース・イン・ザ・クロゼット

1957年9月29日①~④ シカゴ、オペラ・ハウスにてSTEREO録音 
1957年10月7日⑤~⑩ LA、シュライン・オーディトリアムにてMONAURAL録音

原盤…Verve 発売…ポリドール㈱
CD番号…POCJ-1823

演奏について…まず、本題の通り、「シカゴ・オペラ・ハウス」でステレオ録音された、①~④曲までお話しましょう。

1曲目…「ビリーズ・バウンス」…ヴァーブ・レーベルの偉大なるミュージシャンの先輩、「チャーリー・パーカー」作のブルースですが、「オスカー・ピーターソン」の流麗な序奏にのって、「J.J.ジョンソン」「ゲッツ」のユニゾン演奏がなされ…そして「スタン・ゲッツ」のアドリブ・ソロへと展開する。
「ゲッツ」は軽やかで、イマジネーション豊かな、いかにも白人テナー奏者らしい、蝶が舞う様なアドリブを演ってくれます。
受ける「J.J.」も、かなりウォーム系のトーンで、寛ぎ感溢れるエモーショナルなアドリブで、「ゲッツ」に合わせてきます。
フロント2管以外のメンバーも、オールスターズですが、ここでは二人に花を持てせる認識なのか、バック演奏に従事します。
終盤の「ゲッツ」と「J.J.」の対話的な絡みが、この演奏での一番のベスト・パフォーマンスですね。

2曲目「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」…この曲での序奏から、「J.J.」のテーマ吹き…アドリブへと展開する流れと、エモーションたっぷりのソロ演奏は、秀逸の出来です。
「ゲッツ」もそれに合わせて、情感たっぷりのアドリブで、更に曲に魅惑の衣を付けていきます。
この曲にもエンディングで、二人の絡みがあるんですが、1曲目以上の素晴らしさで、最高ですよ。
いつまでも聴いていたい気にさせられる、ハーモニーの妙です。
ここでも何気に、バックに徹する4人が、実は素晴らしい演奏をしています。
特に「コニー・ケイ」と「レイ・ブラウン」のリズム二人の分厚いサポートの、隠れた迫力は…goodです!!

3曲目「クレイジー・リズム」…曲名通り、リズム・セクションをフューチャーした曲ですが、ここでも4人(二人)ともソロ等は取らないで、曲をがんがん演るのは、フロント二人なんです。
しかし、バックでブロック・コーをメインにガンガン弾く「ピーターソン」と分厚いサウンドでドライヴィングする「ブラウン」。
そして、皆を鼓舞し、敲き捲くる「ケイ」の3人のパフォーマンスに痺れます。

4曲目「ブルース・イン・ザ・クロゼット」…コンサートも終盤になったのか?「J.J.」、「ゲッツ」とも、かなり力の入った熱演になっている。
「ピーターソン」も何気にコードを離れて、サイド・メンながらも魅惑のフレーズを所々で紡ぎ出して、流石の演奏を見せてくれます。
「ケイ」のパスパスと言った感のドラミングが、曲を明るく楽しくさせています。
そうだ!このリズム・セクションは、ドライヴィングと進行をしながらも、自ら(リズムで)歌っているので、軽やかでスピーディなんでしょうね。
この曲でもフィニッシュは、ステレオ録音で左右に分かれて、左が「ゲッツ」と右が「J.J.」で、それぞれが魅力あるアドリブ・フレーズを奏であって、見事なハーモニーで終了します。

さて、モノーラル録音の方ですが、5曲目「ビリーズ・バウンス」…日付から言うと、この演奏の方が後録音と言う事もあり、先行の「ゲッツ」のアドリブが、1曲目とは違って、かなり熱い、ファイトした演奏になています。
バックの演奏も追従してか?「ピーターソン」の演奏も、伴奏なのに最初からビンビンに飛ばしていてフレーズ弾き捲くるし、「ケイ」のドラミングもライトでは無く、ズンズンと迫って来ます。
「J.J.」のソロは、明朗快活で、元気な印象ですね。
彼も廻りに触発されて、最初からトップ・ギアに入れて発進しています。

6曲目「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」…この曲も序奏の入り方からして、テーマを崩し気味にして…前曲よりも遊び心が、かなり加味された感じがします。
「ゲッツ」のアドリブは、かなりエモーショナルで、とても流麗な演奏で、結構力が入っていて、彼にしてはファイトした演奏でしょう。
「J.J.」は、彼らしく朴訥に仕上げていますが、それでもトーンは明るめで、周りの元気に合わせています。
「ブラウン」の重厚さと歌心の両面を兼ね備えたベースが裏の聴き所ですし、「ピーターソン」の華麗な?伴奏も良いですよ。
お洒落で、ジャジーでとても楽しめる演奏です。

7曲目「クレイジー・リズム」…速いテンポにのって「ゲッツ」「J.J.」とも高速調でアドリブ吹き、ノリノリの演奏です。
この演奏でも「ケイ」&「ブラウン」のリズム・セクションと「ピーターソン」を加えた3人は、超攻撃的?なサポート演奏で、フロント二人を喰っていて、笑えますよ。
まぁ、本当は各人にソロを取って欲しいメンツなんで、攻撃的な?バック演奏ぐらいは当たり前ですよね?
全体の仕上げとしても、とてもカラフルな1曲です。

さて、「オペラ・ハウス」では演奏のなかった、8曲目の、名曲「イエスタデイズ」ですが、極めて短い演奏ですけど、「J.J.」の魅惑のアドリブ演奏がとにかく行けてます。
ところで、この演奏は99%「ゲッツ」レス(抜き)なのが面白い。
残りの1%ですが、最後の1小節で、1音出してます。(大爆笑)

9曲目、この名バラード「イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド」も、「オペラ・ハウス」では演奏されていませんでした。
8曲目とは反対に、アドリブ・ソロは「ゲッツ」のみで、ここでは100%「J.J.」レスの演奏です。
しかし、「ゲッツ」のバラッド演奏…やはり良いですぅ。
大人の哀愁バラッドに、涙チョチョ切れ物ですぜ。
バックの3人は言うこと無しな上、「エリス」のさりげないサポート、ギター演奏も通好みでしょう。

ラスト「ブルース・イン・ザ・クロゼット」…「オペラ・ハウス」の演奏よりもかなり演奏時間が短いが、内容を濃くしてか?もっと早めのテンポで、グングンと押し進められて、かなり激しい演奏になっています。
特に「ゲッツ」のぶいぶい吹きが印象的ですし、ノリに乗っている「ケイ」と「ブラウン」のベース&ドラムスが、まるで機関車の様に重厚に走っています。
ラストに相応しいあげあげの1曲です。

是非、2つのライブ演奏が入ったこのお得盤を聴いてみて下さい。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿