紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

若かりし巨匠がスタンダードをブロウする…ソニー・ロリンズ~ワークタイム

2008-03-23 23:07:32 | ジャズ・テナー・サックス
かの、「ソニー・ロリンズ」が売り出し始めた頃に、豪快なブロウでスタンダードを題材にアドリブを演りまくった痛快なアルバムがこれなんです。
バックのメンバーも最高で、ワンホーン・カルテットの魅力に溢れた名盤ですね。

アルバムタイトル…ワークタイム

パーソネル…リーダー;ソニー・ロリンズ(ts)
      レイ・ブライアント(p)
      ジョージ・モロウ(b)
      マックス・ローチ(ds)

曲目…1.ショウほど素敵な商売はない、2.パラドックス、3.レインチェック、4.ゼアー・アー・サッチ・シングス、5.イッツ・オールライト・ウィズ・ミー

1955年12月2日 NYにて録音

原盤…prestige LP-7020  発売…ビクター音楽産業
CD番号…VDJ-1607

演奏について…オープニング曲「ショウほど素敵な商売はない」ですが、「マックス・ローチ」のタイム感覚抜群のドラミングに導かれて、「ロリンズ」が豪快にブロウする痛快な1曲です。
この演奏で特筆すべきなのは、「ローチ」以上のドライヴィング力で、「ロリンズ」さえも引っ張っていくベースの「モロウ」のハードな仕事振りに耳を奪われますね。
勿論、触発された「ロリンズ」も負けじと豪快に吹いて返してますけどね…。
「ブライアント」は、曲調に合わせて、かなり早弾きしていますが、彼にはもっと叙情的に弾いて欲しいと言う願望が有るので、個人的にはチョイマイナスかな?
ラストでは、「ローチ」がスーパー・ドラミングを演ってくれて、オープニングに相応しく、掴みはOKの好演となっています。

2曲目「パラドックス」…ラテン調のリズムで、軽快に進行する「ロリンズ」オリジナル曲です。
テーマ・メロディは分かり易く単純に作っており、「ロリンズ」は、真骨頂のアドリブ満載で、ぶいぶいと演ってくれます。
それを受けての「レイ・ブライアント」のピアノ・アドリブですが、1曲目とは違って、シングル・トーンでロマンティックに仕上げてくれて…そうです。
こうでなくちゃ「ブライアント」は駄目ですよね?
後半に入ると、またまた「ローチ」がテクニック満載に、「ロリンズ」とのデュオ的な掛け合いも見事で、ビーバップから発展した初期のハード・バップの最良の演奏がされていて…goodです。

3曲目「レインチェック」…「ビリー・ストレイホーン」作曲の古典的な名曲なのですが、「ロリンズ」は、ここでもフル・トーンで、豪放にテナーを吹き捲ります。
豪放と言っても流石は「ロリンズ」、歌心は全く失わず、聴き良いアドリブですし、例に漏れず?「ローチ」が、スゴテクのドラム・ソロを雨霰の様に、時に激しく、時に繊細に敲き捲くります。
「ブライアント」のソロも、短い物の魅惑的ですねぇ。
ところで、「ローチ」のドラムが、「雨切符」の「雨」の役目なんでしょうか?
私は、そう思うのですが???果たして真相は????

4曲目「ゼア・アー・サッチ・シングス」…この「フランク・シナトラ」の十八番曲の一つの曲を演ってくれる「ロリンズ」の演奏は、まじで最高ですよ~!!
やはり、歌心が必要不可欠なバラッド曲を吹かせたら、「ロリンズ」の右に出る人はいないでしょう?
バックの3人はとても控えめに、「ロリンズ」の演奏を際立たせるサポートをしていますが、逆にそれが魅力アップになっています。
何と言っても名人3人がバックに徹しているので、「レイ・ブライアント」のバラード・プレイは言うまでも無く秀逸ですし、ソロ・パートのシングル・トーンでの演奏も行けてます。
勿論「ローチ」のブラッシュ・ワークは当然の如く名人芸ですし、「モロウ」の的確なベース・プレイ&ソロも言うこと無しです。
ラストでの「ロリンズ」のアドリブ・ソロも感涙物です。
このアルバム中、ベスト・プレイはこの1曲でしょう。

ラスト・ナンバー「イッツ・オールライト・ウィズ・ミー」…前曲がベスト1と言っておきながら、私的にはこの曲が大好きなので、実は甲乙付け難いんです。
魅惑的なテーマ・メロディを活かしつつ、「ロリンズ」が展開するアドリブ演奏に思わず体がリズムを刻むんです。
とにかく、この曲&演奏での「ローチ」&「モロウ」のリズムの推進力は半端じゃないですね。
「ブライアント」のソロも勿論素晴らしいし、終盤、お決まりの「ロリンズ」と「ローチ」の掛け合いバトルも拍手喝さいしたいですよねぇ。
余りにもお決まり過ぎるけど、やっぱり「水戸黄門」や「渡鬼」マニアはいるんだから、ワンパターンだって、こちとらは、もはや待ってましたですよ!
ドラマなら見て安心だけど、レコード(CD)だったら、聴いて安心な1曲です。

全5曲、「ロリンズ」と名人バック3人の、素晴らしいパフォーマンスが堪能できる1枚ですね。
ズバリ、万人にお薦めです。


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