紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

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ロリンズ名義だけれども、実はサプライズが…?ソニー・ロリンズ~ソニー・ロリンズ・プレイズ

2008-02-23 11:30:38 | ジャズ・テナー・サックス
皆様、お久しぶりです。
私事で恐縮ですが、仕事と家庭と適当に忙しくて、ブログ更新し難い状況です。

さて、今日は(も)、かつては幻の名盤として君臨していた一枚のアルバムを紹介します。

リーダー名義はタイトルの通り「ソニー・ロリンズ」なんですが、収録曲、全6曲の演奏の内、「ロリンズ」がリーダー・セッションとしてテナー・サックスを吹いている演奏曲は、半分の3曲だけで、残りの半分(3曲)は、リーダーが「サド・ジョーンズ」のコンボ演奏なんですよ~!

まぁ、下衆の勘繰りですが、シンプルに考えるならば、「サド・ジョーンズ」名義よりは、「ロリンズ」名義の方が明らかに《売れる》と制作側(レコード会社)が判断して、そうしたと言うのが本音ではないでしょうか?

いずれにせよ、「ロリンズ」、「サド・ジョーンズ」とも名演奏ですし、細かい揚げ足などに捉われず、普通に聴けば良いと思います。

アルバムタイトル…ソニー・ロリンズ・プレイズ

パーソネル…1~3曲目
      リーダー;ソニー・ロリンズ(ts)
      ジミー・クリーブランド(trb)
      ギル・コギンズ(p)
      ウェンデル・マーシャル(b)
      ケニー・デニス(ds)

      4&5曲目
      リーダー;サド・ジョーンズ(tp)
      フランク・フォスター(ts)
      ジミー・ジョーンズ(p)
      ダグ・ワトキンス(b)
      ジョー・ジョーンズ(ds)

      6曲目
      リーダー;サド・ジョーンズ(tp)
      ヘンリー・コッカー(trb)
      フランク・ウエス(ts)
      トミー・フラナガン(p)
      エディ・ジョーンズ(b)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.ソニームーン・フォー・トゥ、2.ライク・サムワン・イン・ラヴ、3.悲愴のテーマ(チャイコフスキー)、4.ラスト・フォー・ライフ、5.アイ・ガット・イット・ザット・エイント・バッド、6.バラード・メドレー

録音…1957年11月4日①~③、1956年12月24日④&⑤
   1957年1月6日⑥

原盤…ピリオド  発売…ヴィーナスレコード㈱
CD番号…TKCZ-79506

演奏について…巷で名演の誉れ高い1曲目「ソニームーン・フォー・トゥ」…テーマの序奏を「ロリンズ」、「クリーブランド」のユニゾンで宣誓し、その後、野太いテナー・サウンドで「ロリンズ」がアドリブを朗々と歌わせて決めます。
受けて「クリーブランド」が、情緒的且つ鋭さも兼ね備えた、素晴らしいアドリブで「ロリンズ」に対抗します。
その後、「ギル・コギンズ」のシングル・トーンを活かしたピアノ・アドリブも魅力抜群で…曲に彩を添えます。
ベースの「マーシャル」のソロ・パートも有って、全体的に非常にオーソドックスで、実直なハード・バピッシュなセッションに仕上がりました。
曲後半の「ロリンズ」がぶいぶい言わすアドリブ演奏は、「サキソフォン・コロッサス」の流れを汲む、まじで気持ちの良い吹きっぷりです。
1曲目から、名演バシバシです。

2曲目「ライク・サムワン・イン・ラヴ」…言わずと知れたスタンダード・ナンバーですが、ここでの「ロリンズ」は原曲をあまり崩さないんですけど、アドリブ・パートに移行してからのフレーズがとても魅惑的です。
いつも通りのゆったりとした雄大なテナー・サウンドを吹いてくれます。
それから「コギンズ」のピアノ演奏…この人は相当の実力者ですね!
素晴らしいソロも勿論ですが、その演奏の端々にハズシや遊びも垣間見せて、「ロリンズ」へのサポート演奏が冴えています。

3曲目「悲愴のテーマ」…クラシックの超巨匠「チャイコフスキー」の最高傑作、交響曲第6番のメインとなる主題を題材にして、「ロリンズ」がバラード曲として仕上げている。
非常に高尚な演奏で、決してクラシカル・ジャズの俗っぽい雰囲気は皆無です。
演奏自身は、原曲をリスペクトして、崩しは少ないのですが、「ロリンズ」の熱い(厚い)テナーが、ものすごく朗々と歌ってくれて…甘くない大人のバラッド演奏を構築しているんです。
素材はクラシックだが、完全に1ジャズ・バラード曲として存在していて、「コギンズ」の可憐なソロも素敵だし、サポート演奏に徹する「クリーブランド」、「マーシャル」、そしてブラシ・メインの「デニス」のドラム演奏も「ロリンズ」をバッチリ、後押ししてくれてます。 

4曲目「ラスト・フォー・ライフ」…打って変って、「サド・ジョーンズ」カルテットのお出ましです。
ちょっぴり不可思議なテーマで奏でられる「サド・ジョーンズ」のオリジナル曲。
序盤を引っ張るのが「フランク・フォスター」のテナーで、渋みを効かせた大人のテナーで吹きます。
それから「ジミー・ジョーンズ」、「サド・ジョーンズ」が、煌びやかなアドリブを演って、曲を盛り上げてくれます。
皆を煽る「ジョー・ジョーンズ」の演奏も、勿論良い仕事をしてますよ。
ビ・バップの香りが漂う懐かしい演奏です。

5曲目「アイ・ガット・イット~」…いかにもブルースを得意とする「サド・ジョーンズ」らしく、彼のソロ演奏が一際輝きを増しています。
「サド」以外では、この演奏でも、パパ「ジョー・ジョーンズ」のドラムが良いですねぇ。
そして、終盤「ワトキンス」の分厚いベースとデュオ的に奏でる、とても華麗な「ジミー・ジョーンズ」のピアノ・アドリブが抜群に行けてます。

ラストの「バラード・メドレー」…「フラミンゴ」を奏でるピアノの「トミー・フラナガン」…普通にテーマを弾いているだけなのに、何て素敵なんだぁ!
「イフ・ユー・ワー・マイン」を渋く、カッコよく決める「フランク・ウエス」、「アイム・スルー・ウィズ・ラヴ」を、やや悲しげに、情緒たっぷりに歌わす「ヘンリー・コッカー」のトロンボーンもお気に入りです。
最後のバラード曲「ラヴ・ウォークト・イン」を朴訥と…シンプルに感情を込めて吹く「サド・ジョーンズ」…いずれの曲、演奏とも奇を衒わず、しかし歌心充分で、感情移入も素晴らしい、「サド・ジョーンズ」の演奏曲3曲の中では、ナンバー1の評価です。

2つのコンボのそれぞれの名演を是非聴き比べて下さい。    


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