What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

ジェイムズ・エルロイ ブラック・ダリア

2006年09月17日 16時26分59秒 | 
 ジェイムズ・エルロイの「ブラック・ダリア」が映画化されたのを、全然知らなかったので、Yahoo!映画の画像で見てビックリしました。

 まったく失礼なんですが、ブライアン・デ・バルマ監督が「名匠」と書かれていると、なんだか笑ってしまいます。私には”超ホラー&サイコ映画オタクの監督”という印象がどうも抜けないんですよ。「殺しのドレス」を最初に観ちゃったからでしょうね。

 でも映画は観ないでしょうね~、絶対に陰惨な殺人現場がバンバン出るし、人間関係は複雑で最悪だし、楽しくはないはずです。文章で読むとなんとか耐えられるんですけどね、う~ん。



 原作は、J・エルロイが拭おうとしても拭えない「何故母は殺されたのか?」という心の叫びが、通奏低音の様に文章の中に流れています。実際にあった事件を再構築し犯人の謎に迫るという展開ですが、「ホワイト・ジャズ」や「L.Aコンフィデンシャル」に先立つ、L.A四部作の第一作目であると共に、J・エルロイのそれ以降の作品の全てが、このお話に凝縮されているように思います。

 後に、自分のトラウマであり全てである、実母の事件と決着を付ける様を書いた「我が母なる暗黒」は、まさに”事実は小説より奇なり”な顛末と、全てを吐き出して、粛々と真実を求めるJ・エルロイの姿に、感動すら覚えます。ここまで自分の内面をさらけ出して書くか、という「感動」ですので、ぜひ、J・エルロイの作品に良くある、流血場面や悪徳を尽くす登場人物に辟易された方に、読んで頂きたいお話です。

「何故、彼は書かねばならないのか?」という命題の回答がここにあります。

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