What A Wonderful World

毎日の暮らしの中で、心惹かれたことを語ります。

恒川光太郎 『南の子供が夜いくところ』 ほか

2010年04月05日 12時43分11秒 | 図書館で借りた本
○恒川 光太郎 『南の子供が夜いくところ』 (角川書店)

 読んでいて、気持ちの好いお話。いや、恐いお話も哀しいお話もあるんだけど、「物語を読む愉しみ」が気持ち好いという印象です。恒川さんは、いま沖縄に住んでおられるそうで、そのせいか本作も、島の風や海の匂いがしてくるような文章になってます。恒川さんて、ほんと「薄闇」が好きですよね(笑)

本作に”雲が低く垂れ込めて、海も空もひとつになってくっついてしまったような空間から、時空を超えてしまう話し”があるんですが、以前同じような体験をしました(時空は超えなかったけどね!)おばあさんと病院に行って、診察の順番を待っている間、何もせずにじ~っと見ていた壁の白と床の白が、混じって平面に見えてきたんです。眩暈がするような気分の悪さってあるでしょう?人間って、あんまり長い間同じモノを見つめてると、感覚が変になるんですね。あの時の精神状態なら、ほんと異次元にもいけたかもしれない(笑)

○遠藤 武文 『プリズントリック』 (講談社)

 ずっと読みたかった、第55回江戸川乱歩賞受賞作だったんですが、とにかく文章が読みづらい。(巻末の「選評」に、本作を読んで感じる事の全てが書いてあるので、ぜひお読みになる事をお勧めします)初めて書いた小説が乱歩賞受賞というのは、作家さんにとって幸運なのか不運なのか、難しいところだなぁと思いました。遠藤さん、次回作は書かないのか、書けないのか・・・。

○東野 圭吾 『新参者』 (講談社)

 最近の東野さんは、確実に作品の映像化を頭において、お話を書いてますよね。本作も、さっそく阿部寛さん主演でドラマ化されて、今月から放映されますけど、もう読んでいて俳優さんの動きとか風景とかの映像が、まんま頭の中で見えますから(笑)ある意味凄いなぁと思いつつも、ちょっと文章読みとしては物足りない気もします。サクサク読めるし、巧く人情も書いているのだけれども、ガツンとこない感じ。



とうとう、「本屋さん大賞2010」のノミネート10作のうち、読みたいと思っていた7作を読み終えました。(あとの3作は読む気がおきないからパス)相変わらず、村上春樹さんの『1Q84』が鉄板だと思います・・・思いますが、それを抜かしたら冲方丁さんの『天地明察』を私は推します。今月20日の発表をお楽しみに!

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