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ナツノの日常のことを書いています。
しばらくの間コメントお休みさせてくださいね…by ナツノ

消えてゆくものと新しい風

2006-10-18 | 暮らし

チョキ チョキとはさみの音がさっきから絶え間なくしています。お隣の庭の木を切っているのです。何十年も育った木たちです。お庭の歴史と言うか、時を刻んできた木々の記録がなくなっていきます。
私はどうにもその、チョキチョキの音に、いたたまれなくて…、そわそわベランダと家の中を行ったりきたりしています。

本当のところ、ちょっと困ってもいたのです。狭い土地に寄り添う家々ですから、もちろん繁る木々もお互い様なのですが…伸びすぎてしまい、こちらにコンニチハした枝を切らしてもらってもいましたので…
なので、あまり感傷的にもなりたくないのですが、やはり黙って黙って切られて倒されてゆく、歴史のある木を見ていると、胸が少し痛みます。

今まで緑だった場所が、空が、空間に変わっていきます。
私自身、ここに住む時にすべての木を切りました。父の育てた木々でした。もう、今までのものは、何も要らない、と思ったのです。
私が「全部切って下さい」と言った時、担当の方が、やや驚いていたのを覚えています。でもこんな身勝手を、父は許してくれるのではないか…そう思っているんです。

今日のこの、あたたかな秋の風に乗り、お隣から草を切る香りがしてきます。
草も木も何も言いません。今日の夕方には、お隣に新しい風の通り道が出来て、優しいなぐさめの空気が流れることだと思います。そう願っています。