朝日さす駅へと続く坂道をそれぞれのことそれぞれのひと
木枯らしに背中押されて昨年のままのにおいのマフラーを巻く
幼子が風がいるよと指を指す先の梢がそこだけ揺れる
色あせた薄紫のランドセル制服に袖通す日近く
朝日さす駅へと続く坂道をそれぞれのことそれぞれのひと
木枯らしに背中押されて昨年のままのにおいのマフラーを巻く
幼子が風がいるよと指を指す先の梢がそこだけ揺れる
色あせた薄紫のランドセル制服に袖通す日近く
◎そのうたを聞けば見知らぬなつかしさ今夜も流し答えを探す
◎包まれて眠る幸福秋の夜二人きりだね月と私と
◎先生の言葉暖かく診察後ホットココアのボタンを見ている
◎夏が行く百日紅の花飾り付け信号待ちの青い車に
◎秋風に誘われるままはりきって踊る洗濯ぼんやり見てる
◎曇り空止まった記憶手探りで金木犀の香り頼りに
手を止めて洗濯物の揺れる音風と一緒に飛んでゆきたい
午前中静かな夏の子供たちひとりふたりと木陰を歩く
通学路今日は遊びに向かう道キラキラお目目夏休みだね
夏の子ら見え隠れする昼下がり焼け付く暑さ平和を祈る
熱孕む風に散る散る百日紅コロコロ夏の日が暮れてゆく
誰もいない熱い風吹く通学路そうか今日から夏休みなんだ
お昼前校庭の子らの歓声が真夏日の街にキラキラ流れる
夏空に雲湧き上がり校庭の子らの歓声半夏生咲く
なじめない抹茶味今日はなめてみる猛暑逃れる薬のように
川沿いの空に大きなシュークリーム暑さに呆け自転車をこぐ
暑さに気を付けてお過ごしくださいませ。
校庭の子らの無邪気な声を背に迫る黒雲早足になる
ささやかな安堵を胸にかえりみち揺れて迎える紫陽花の花
梅雨前の真夏の風にあおられて小学生の私がわらう
いそいそとめくるカレンダー紫陽花の花六月を彩り飾る
のぼりきり空を仰いで思案中 クレマチス風にひらひら揺れて
マイナスの幾つかなどはいさぎよく 風の合図ではなびらと散る
ぴちぴちとフランネル草順番を 待ちくたびれて初夏花ラッシュ
母が居るうす紫の細い肩 緑の陰に五月の庭に
母思う五月は長く卯の花が 咲きバラが散り今年も過ぎる
むべの花遠くから来た風に散り木戸のまわりに記憶ただよう
制服の丈合わぬ間にハナミズキ咲く八重桜静かに散りて
みているよ花散り今は青葉です何年先も校門前で
やえざくら急ぎ散りゆく子供らのランドセルの音お守りにして
春風がカレンダーめくり新入生男の子らは群れ登校す
八重ざくら散らししめった灰色の風が今年の五月はこぶよ
青空にぬける清風あおられて連休来るよと背中押される