ちあの散歩道

輝いてアラカンヌ☆ありがとうの言葉を添えて暮らしのドアをそっと開けると今日も豊かな感動と新しい気づきが待っています。

映画 「エレジー」

2009年02月15日 | 映画・芝居・芸術など


話題の映画「エレジー」を観ました。
映画案内を読んだときには、愛をテーマにした「Love」のジャンルに入ると思っていたけれど、これは絶対「ヒューマン」のジャンルに括られるストーリーだと思いました。

「死ぬまでにしたい10のこと」のイサベル・コイシェ監督作品です。
「死ぬまでにしたい10のこと」も、淡々と描かれた名作でしたが、「エレジー」も“生きる”ことへの哲学的テーマが秘められているように思いました。

30歳年下の教え子の美しさに目を奪われ、心を奪われて行く大学教授。
画面には若いコンシェラの端正な美しさと、教授デビッドの知的だけれど抗いきれない老醜も映し出され、この2人の関係の行方を伏線にして物語は進められて行きます。
私たちが日頃思い込み、年齢や立場など思考の中にバリアーや狡さを知らず知らずのうちに築いて行っている、その垣根が徐々に外されて行くような展開。
人は一人一人の存在の確信に気付かなければなりませんが、ややもすると生きていく上でこれらのことを自らが抹殺したり封印してしまいがちです。

フィリップロス原作の「エレジー」も、特別のことはない日常の物語の中に、計算された映像美が画面上にクローズアップされて映え、非日常の世界へと展開させ、含蓄のある精神が散りばめられ、そしてそこに観るものを引寄せて行くような奥深さのある映画でした。洗練された大人の映画を感じさせました。

それにしても、映画っていいなぁと映画を観るたびに思います。
もっともっと映画を観る機会を増やしたいなといつもそう思います。

●◎もう一度観たい映画の中のひとつに、佐藤真監督の「まひるのほし」がありますが、
3月28日(土)10:00~ 14:00~ 18:00~の3回、上映されることを知りました。
場所は松戸市の天神庵です。
松戸で3月28日、29日に行われる「佐藤真監督追悼上映会」のプログラムとして「まひるのほし」も入っていました。
29日は「阿賀に生きる」「阿賀の記憶」の上映があるようです。●◎