カラカラカラ・・・と風呂の引き戸があいたので、僕はそちらの方向を見ました。
すると、全裸のF君が入ってくるじゃありませんか!
そして「一緒に入っていい?」とF君。
ちょっと本気で一瞬パニックになりました。
僕は中学に上がった時から、親戚の男の子とさえ一緒に風呂に入ったりしません。
でも旅行なんかでは、一緒に入ります。
こういう広い家では、普通のコミュニケーションなのだろうか・・・。
でも、広いとは言っても、風呂自体はそんなに広くはありません。
湯船だって1人が限界。
僕の目の前で体を洗っているF君を見ました。
別に普通です。
僕が変に意識し過ぎているのだろうか。このまま一定の距離を保っていれば別に何もないハズ。
そう冷静に判断しようとする一方で、
素に近い方では、
ホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだホモだ
のホモだ警告。
そして再び冷静な方・・・
いやいや、ここで変に扱ってしまうと、F君を傷つけてしまう。
まだ確証はないのだ。
そうこうしていると、
F君が僕の入ってる湯船に入ってきそうになってる!
あ~ぶなぁぁぁぁ~い!
もう冷静と情熱の間も何もありません。
間一髪で僕は湯船を脱出し、
「さ、先に上がるから!」
と言ってサッサと風呂場から逃げてきてしまいました。
F君の部屋に戻ってから、なんとかこの状況を解釈しようとしました。
もちろん謎は新たな謎を呼び、摩訶不思議アドベンチャー状態。
つかもうぜ!ドラゴンボール!
今ボールを掴もうとか言うな・・・
と受験生の如くナーバスになってると、風呂上りのF君が入ってきました。
普通にしてくれれば僕の悩みも解決するところなのですが、
風呂に入る前よりも若干ですが、大人しい。
すっげー微妙!!!
僕は残ったビールを飲み干して、「じゃ、そろそろ寝ようか」
と人の家で指揮りだすほどの混乱ぷり。
F君はベッド、僕は布団を敷いてもらいました。
ちょっとこの距離感にホッと一息。
そして電気を消して横になるも、なんか寝付かれない。
こんなに男のことばかり考えてたら、それこそ禁断の世界だ!
と思い、女の子のことを考えながら、ようやく寝ることができました。
それからちょっとF君とは微妙な感じになりました。
なんかF君の態度がちょっと冷たくなったからです。
それがあの1件とどう関係しているのか、僕には分からないけれど。
そーゆーことがあったことを、当時誰にも言えなかったのが一番ツラかったなぁ。