ペンシルハウス物語~東京日和~

-gozar de tokyo-きまま そのまま なすがまま 

国立劇場

2008-05-19 | 観 Movie Museum
”ここよー!!ここ!!”

遥か向こうの彼方で大声で上げ
ぴょんぴょん飛び跳ねているのは我母。

隣でコリン父も負けじとブンブンと手を振っている。

妹が「マズイ、早く近づかないとずっとあの調子だ」と
言うのに激しく同意し、二人で競歩。

ある意味ダンスと同じ位に
母が命をかけて?励んでいる演劇鑑賞会主催の

番外編で国立劇場にて演劇と楽屋訪問ツアーに参加した。

母達は朝早く地元から大型バスを組んで乗り込み。

前日届いたメールには、
「大劇場正面入口に10時集合!よろさく!」と

よろさく?あ、よろしくか・・・。

よろさくより、ずっと恐ろしいその時間。

母に言わせると楽屋訪問やバックステージ見学は
劇団によっては良くやっている事で珍しい事ではないらしい。

が、普通では絶対入れない所で
今回は舞台見学がセキュリティーの関係で急遽不可となった為、

特別に出演者の方の楽屋に
ぞろぞろと入れて頂いた。

考えたらこちらの方がよっぽどセキュリティー問題が
ありそうな気もするが(笑)

衣裳部屋やカツラ置き場。

舞台入口にある女優鏡(鏡の周囲にぐるっと電球がついている)に
映る自分に別の意味でクラっとしたり

舞台袖に漂うあの独特な感じ。

久しぶりに幼き頃にバレエの発表会で
出番を待った緊張感と高揚感を思い出した。

あの緊張マックスで舞台に出て
一度ライトを浴びてしまうと

麻薬の様にクセになって
楽しくて止められないのだ。。。

メインのお芝居自体は母からの情報では
歌舞伎だと聞いていたのが、しっかり演劇にすり替わっていた。

「歌舞伎って言ってなかった?」と聞くと
「そんな事、お母さん一言も言ってないわよー」と

平然と言いのける。あっぱれ。

30年前に初演された”怒る富士”という演目の再演。
まるで今の世の中を描いた様であった。

富士山が大噴火を起こし大きな被害を受けた貧しい村に
必要な支援が行き渡らない。

あるはずの援助金は利害が絡んで別の所へ流れる。

食べるものもなく、苦しむ農民達の為に
一人の藩主が身を持って挑むという熱い内容。

この熱い演目を1日2回公演とは
ジャニーズ並ではないか。。。

しかし久しぶりのライブは良いものだ。
最近お芝居やミュージカルから遠のいていたので
またちょっと通いたくなる。

もうちょっとチケット代が安ければよいのに!

おまけ:
国立劇場ロビーに
ガラスケースに入ったエビゾー発見!しかも木彫り。



バラとキッシュと楠木と

2008-05-17 | 食 Gourmet
「前にとても大きな”楠木くすのき”がありますから
すぐにわかると思いますよ」

予約の電話を入れ、
お店の場所を尋ねたら

電話の向こうで感じの良い女性が
そう答えてくれた。

「大きな”くすの木”か・・」
”くすの木”ってばどんな木だっけ?

最近ハマっている庭園巡りに
久しぶりに会う友人を巻き込む。

バラが見頃の「旧古河庭園」へ行く前に
その周辺でランチをと考えチョイスしたお店が

ペジーブル

その大きな大きな”楠”はお店の目の前に
本当にあった。



こんな巨木が、文京区のど真ん中にあるのもにわかに
信じがたい。

しかしその大きさに何か守ってもらえそうな
強さを感じて、皆で樹木に触りながら友人の安産祈願。

そんな楠が真横に見える席で
お薦めのキッシュを食す。

キッシュといえど、
前菜、スープ、パン、デザート、珈琲が付くプチコース。

それで1500円というお手頃価格である。

まず前菜はアボガドムース。
アボガドの食感もしっかり。



続いてスープのビシソワーズ。
お皿の緑とスープの白のコントラストが鮮やか。



そしてお待ちかねキッシュの登場。

あまりの大きさとサラダの量の多さに
思わず「うわぉ!」と声が出る。


たまねぎの甘さとひき肉のジューシーさが交じりあい
シナモンの風味が効いている。

そしてパイ生地のなんてサクサクな事!
美味しぃぃぃ!!

デザートはチョコのクレムブリュレ。
珈琲もお替り出来るなんて感動だ。

あまりの居心地の良さにすっかり長居し
慌てて本日の目的地「旧古河庭園」へ向かう。

しかし途中の春日駅のパン屋へ寄り道。
まあいいか。コーンブレッド焼きたてだったし。

西ヶ原駅からのんびり歩いて辿り着いた
旧古河庭園

洋館とバラは枝豆と塩の様に切っても切れない組み合わせ。
(なんじゃい?その例え)


やはりバラ効果なのか想像以上の人の多さ。



やはりバラというゴージャスな種類だけあって
バラの名前もゴージャスな女性の名前が多い。

”プリンセス・オブ・ウエールズ”
”マリアカラス”
”クレオパトラ”

香りと花びらでむせかえるようだ。
また東京発見。

追伸:
yakoちゃん”芳純”は
キレ天気予報士”よしずみ”じゃなくて

”ほうじゅん”ですからウシシシ。

ほのぼの

2008-05-16 | 暮 Life
お昼過ぎに外出し、
道中長い電車内の心地よい揺れにうつらうつら。

都内から1時間も下ると
平日の昼間はこんなに空いているのかと驚く静かな車内。

既に爆睡モードで
足も広がりつつあるその時、

次の駅に電車は滑り込みドアが開いた。

突如車内に爆音が!

”うぉぉぉー””ぎゃぁおーーー”
”きゃきゃきゃきゃー”

何?何?何が起こった!?と思わず
シートから飛び起きる勢いで目が覚めた。

一番端のシートに座った私のすぐ目の前には
おそろいの紅白帽と体操着とリュックを背負った

赤3組と名前が書かれた大きな名札を付けた
総勢50名ほどの童がワラワラしていた。

ガランとした車両が突如子供達であふれ
まさに幼稚園になったのかと見紛う。

そして私は一瞬にして、
子供達に囲まれ状態になってしまった。

じーっと珍しそうに見つめる子に
「アタシヨダレ出てる?」とはさすがに聞けないので

「今日は遠足だったの?」と聞いてみた。

「・・・・」
オイオイ!みさきちゃん無視かい!と
思わず大きな名札の名前を呼びそうになる。

おそらく年長組の5歳児位だろうか、
まだとりあえず聞き分けがつく年ではあると思うが

同じ年齢の子供をあれだけの人数
毎日相手にしているのかと思うと

「みんなー次で降りるからねー」と大声を張りあげる
先生を思わず「偉い!」と尊敬の眼。

しかし、おちびちゃん達がずらーっと並らび
さらさらの髪に午後の光が差し込んで

真剣に車窓を眺める姿に思わず顔がほころぶ。
ほのぼの気分で仕事忘れた。

それじゃだめじゃん。
全然だめじゃんー。

つぐない

2008-05-14 | 観 Movie Museum
つぐない

テレサ・テンの歌ではなくて。

少し前に観た映画。

有楽町駅の再開発された側ではなく
日比谷側へ出た駅前のビル2階にある

昭和の香りが漂う映画館で観た。

今どきの全席指定制など何処吹く風で
早いもの勝ちの席取り。

ロビーで待つ人達の年齢層の高さに圧倒される。

多分映画の内容よりその映画館自体に
愛着がある人達なのかもしれないと

傾斜のほとんどない席やビロードの暗幕、

白黒時代のテレビ芸能ニュースの口調を彷彿させる
上映前アナウンス。

全体的にかなりレトロな流れ。

そして映画自体は邦題の”つぐない”より
原題直訳の”贖罪”の方がしっくりくる。

贖罪:罪や罰に対して犠牲や代償を払う事。

ほんの少しの罪が
思いもかけず沢山の人の運命を狂わせてしまう恐さ。

それは本当にささいな嫉妬だけが
払った代償は自分の人生。

おー恐ろしい。

私も今朝電車で混んでる電車で
両肘を広げて本を読んでるオバちゃんの隣へ

つめやがれ!とグイグイと入っていったら
物凄い力を両肘にこめられ、

負けるかーと肘鉄合戦になってしまい
最後は先に席に座ったオバちゃんから、

見上げメンチを切られた。

いけない。ノンノン。

こんなイラつきが、
もしかして人生狂わせるかもしれない。

贖罪人生まっしぐら。
って飛躍し過ぎだろう・・・


しかし”贖罪”なんて邦題にしたら
まず観に行きたいとは思わないから、

やはり邦題は映画選択の重要なキーワード。

結構、上手い邦題に内容が負けて
観たらガックシという事も少なくない。

贖罪というほど大きくないが
”つぐない”ってと叫びたい映画もあるものな。







薄闇シルエット

2008-05-12 | 暮 Life
4月の終わりからの2週間で
本を12冊読んだ。

軽めの内容からちょっとヘビーな内容まで
小説からノンフィクションまでのかなりの偏りあり。

さすがにハードカバーを1日で2冊読んだ日は
脳がフゴフゴになった。

「角田光代」は久しぶりに読み直し
また久しぶりに”痛てぇ~”と思う。

このリアルに痛いのが嫌で
しばらく読んでなかったのだ。

今回は「対岸の彼女」の再読を皮切りに

「空中庭園」

「太陽と毒ぐも」

「人生ベストテン」

「薄闇シルエット」

怒涛の角田ワールドへどっぷり浸かる。

この人の小説に出てくる女性は
地味で普通なのだ。

故に痛い。

結婚してようが、してまいが、
子供がいようが、いまいが、

独りで暮らしてようが、同棲してようが
姑がうるさかろうが、

キャリアであろうが、専業主婦であろうが。

職場での女同士のしがらみや
気の合わないママ友の集まりなんかも。

女性ならではの色々な
「あー鬱陶しい」と思う色々な出来事が

普通に描かれているから痛いのだ。
それでいて悲しい位に強い。

****

作り出す事も

手に入れる事も

守る事も奪う事もせず

私は、年齢だけ重ねてきたのだった。

【薄闇シルエット】より****


ホントにこの何年も長い間何をやってきたのだろう。
いや。何もやってないのか。

何もなくて当然。
最近その月日の長さを思って愕然。

で、その先は。
また悩みドロロ。