2~3年前から気になっていたアルバムだ。
機会があったら手に入れようと思っていたが、なかなかその機会に恵まれず時間だけが過ぎていた。
昨年の秋だったと思うが、ある日ふらりと立ち寄った街の小さなCDショップにこのアルバムがあった。
印象的な子どもの写真が使われたジャケットだからすぐにそれとわかった。
これは何かの縁だろうとすかさずレジに持って行く。
これでようやく自分のものになったかと何だかほっとした気持ちになった。アルバムコレクター?の悲しい性である。
マティアス・アルゴットソン。
これもまた印象的な名前だ。最初はドイツ人かと思ったが、正真正銘スウェーデンの若手だ。
北欧ではこうした優秀なホープが次から次へと出てくるので目が離せない。おそらく私たちが考える以上にジャズは北欧の生活の中に溶け込んでいるのだろう。
そういえば私が知っている北欧の知人もみんなジャズの愛好者だったことを思い出す。特にピアノトリオファンが多かったように記憶している。
そんなことを考えているとピアノトリオは相対的に寒い地方に似合う演奏スタイルなのではないかと思えてくる。
まぁそれだけ北欧からは優れたピアノトリオが多く出ているということなのだろう。
このアルバムはとにかく全編ハートウォームな雰囲気に仕上がっている。
彼のセンスがいいのだろう、どのナンバーも好印象を持つ。とても繊細で丁寧にピアノを弾いているといった感じなのだ。優しいピアノトリオを聴きたいという方にうってつけのアルバムである。録音状態も良好だ。
なぜ今、ピアノトリオに人気が集中しているかということに対して疑問を持つ方がいるとすれば、この作品を聴けばある程度答えが出るではないかと伝えたい。
決して派手な作品ではない。しかし心に染みるような味わい深い作品である。
ピアノトリオの人気はそうした部分に支えられているのだ。