SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

UPPER LEFT TRIO 「Sell Your Soul Side」

2008年04月07日 | Piano/keyboard

アッパー・レフト・トリオ。
最近最も注目しているピアノトリオの一つである。
まずこのジャケットに惹かれる。
気持ちよく晴れ上がった空に大きな観覧車。差して深い意味はないのかもしれないがずいぶん印象的だ。若さが感じられるし、大きなスケール感もある。そして何よりダイナミックな爽快感がたまらない。
彼らの音は正にこの大観覧車のようにすがすがしい。

このトリオはクレイ・ギバーソン(p)を中心に、ジェフ・レナード(b)、チャーリー・ドジェット(ds)で構成されている。
部分的には結構斬新なことをやっているにもかかわらず、全体を通して聴くと何となくオーソドックスな正統派トリオという印象を持つ。一言でいえば角があるのにそれを感じさせない演奏なのだ。ここが彼らのスマートさであり絶対的な魅力である。
ジェフ・レナードの弾くベースはウッドベースではなくエレクトリックベースなのだが、これが全体に迫力と個性を生み出している。しかしこのベース、フレットレスのお陰で違和感を感じない。チャーリー・ドジェットのドラムも鮮烈でシャープである。
この二人に囲まれてクレイ・ギバーソンの瑞々しいピアノが全編を駆けめぐる。

2曲目の「All I Want」での弾むベース音と大地の鼓動のような深いバスドラムが実に気持ちいい。
このくらい低音が伸びるとスピーカーも嬉しそうに震え出す。
とにかくいろんな面で大満足。買ってよかったと思えるアルバムだ。
しばらくは青空を見上げると思い出しそうなピアノトリオである。