SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

CECILIE NORBY 「my corner of the sky」

2008年04月22日 | Vocal

サイドメンの豪華なこと豪華なこと。
ピアノにはデイヴ・キコスキー、ジョーイ・カルデラッツォ、ラーシュ・ヤンソン。ベースにはラーシュ・ダニエルソン、レナート・ギンマン。ドラムスにはアレックス・リール、テリ・リン・キャリントン。この他、スコット・ロビンソン(fl)や、ランディ・ブレッカー(tp)とマイケル・ブレッカー(ts)のブレッカーブラザースが入っている。
これだけ話題の人がバックに揃っていると、それだけでも興味津々だ。

セシリア・ノービーはデンマーク出身の歌姫だ。
ライナーノーツを読むと、デンマークで一番早くブルーノートレーベルと契約したのも彼女らしい。
但しブルーノートとはいえ、この作品はずいぶんポップな仕上がりになっている。100%純粋なジャズヴォーカルアルバムだと思って買った人はちょっと戸惑うかもしれない。
目立つことといえば、バート・バカラックの「The Look Of Love」やスティングの「Set Them Free」、レオン・ラッセルの「A Song For You」、映画バクダッド・カフェの主題歌「Calling You」など、聞き慣れた曲が何曲も入っていることだ。
これらの曲の仕上がりは純粋なジャズからはちょっと外れるが、それがどうであろうと重要なのは彼女の声に酔えるかどうかなのである。
安定感のある歌唱力、深く伸びのある声質、ちょっと気怠い大人の雰囲気、私は充分に酔える。
ジャズヴォーカルにこだわる方もご心配無用。アルバム後半に入ると、「What Do You See In Her」「Just One Of Those Things」「Snow」と立て続けに、いわゆるジャズとしての〈聴かせる〉ナンバーが出てくる。
こういった構成の方が万人を飽きさせなくていいのかもしれない。

全体の味付けはやっぱり北欧特有のものだ。
どこかひんやりとしたムードが漂う。澄んだ声が余計に透き通って見えるのだ。
そんな環境の中でポピュラーとジャズのボーダーラインを行ったり来たり。
これからもどちらかに偏らないことを願う。
ここが彼女の定位置なのだ。