SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

LENNY NIEHAUS 「Vol. 1“ The Quintets”」

2008年04月01日 | Alto Saxophone

西海岸には腕の立つアルト奏者が多かった。
アート・ペッパーを筆頭に、バド・シャンク、チャーリー・マリアーノ、ハーブ・ゲラーなど蒼々たる面々が控えている。このレニー・ニーハウスもその一人だ。
クリント・イーストウッドとは無二の親友で、「マディソン郡の橋」や「許されざる者」、「トゥルー・クライム」など彼の映画音楽のほとんどはこのレニー・ニーハウスが手がけている。
そう考えると私たちは彼の音楽を知らず知らずのうちに聴かされていることになる。
例えばチャーリー・パーカーの生涯を描いた映画「バード」で聴かれる曲の数々は、彼がイーストウッドと共に徹底した選曲をした結果であり、彼らのパーカーに寄せる思いが多分に含まれていることを知るべきなのだ。
このアルバムはそんなレニー・ニーハウスの若かりし日の演奏が克明に記録されている作品だ。

とにもかくにも音が西海岸の日差しを受けてきらめいている。
飛び跳ねるようなリズムと流れるようなフレーズを聴けば、ウェストコーストジャズファンならずとも嬉しくなるだろう。曲はもちろんアップテンポのものがお薦めだ。
メンバーも正に西海岸オールスターズである。
レニー・ニーハウス(as)の他、スチュ・ウィリアムソン(tb,tp)、ジャック・モンテローズ(ts)、ボブ・ゴードン(bs)、ハンプトン・ホーズ(p)、モンティ・バドウィグ(b)、レッド・ミッチェル(b)、シェリー・マン(ds)の所謂「顔」が揃っている。

人によってはこれを軽すぎると評する方もおられるだろう。それはそれで結構。
私は50年代当時のハリウッド青春映画を観るようにこの軽快な音を聴く。
ペッパーではなく、シャンクでもない。ここにいるのは紛れもなくもう一人の才能あるウエストコースターだ。