SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

JOHN COLTRANE 「A LOVE SUPREME」

2007年07月24日 | Tenor Saxophone

思い切ってこの作品を取り上げる。
モダンジャズの最高傑作を挙げろといわれたら、このジョン・コルトレーンの「A LOVE SUPREME(邦題:至上の愛)」を挙げる人が一番多いのではないだろうか。
ただこの作品が好きかと聞かれたら、迷わず好きと答える人はそれほど多くないはずである。
要するにこのアルバムは「別格」なのだ。もはや好きとか嫌いとかを超えた次元に存在する作品なのである。
よって誰にでも勧められる作品ではない。ましてやビギナーには危険すぎる。
これはそれくらい手強い作品なのだ。

実際にまた聴いてみると、コルトレーンの神がかった吹奏はさておいてバックの3人が気になった。
まずベースのジミー・ギャリソンだ。
彼はウォルター・ビショップ・Jrの「スピーク・ロウ」で圧倒的な存在感を見せた人だ。この作品においてはムードメイカーをとっている。彼の重いベースリフが全体の屋台骨であり、イメージを決定づける要因だ。
次にドラムスのエルヴィン・ジョーンズであるが、ここでの彼はコルトレーンをも上回る神業を発揮している。こうなるとドラムは単なるリズム楽器ではなくなり、リード楽器のような華やかさが生まれる。
ピアノのマッコイ・タイナーは意外と目立たないが彼もまた重要な存在だ。彼はドラムの替わりにリズム楽器としてピアノを弾いているように聞こえる。普段はやや弾きすぎる感の強い彼だが、ここは慎重に「間」を創り出すことに専念している。少ないソロも鋭い刃物のような切れ味だ。
一見バラバラに見える3人だが、実はかなり高度なレベルでそれぞれが関係し合っている。だからこそコルトレーンが普段以上の迫力を生み出せたのだ。

やはりこれはモダンジャズの最高傑作かもしれない。
異論のある人も、もう一度このアルバムと真摯に向き合ってみてほしい。
やはりダメだったという人はそれでも結構。また何年か経ったら聴き直せばいい。
私もこのアルバムの真価を知ったのは、聴き始めて30年近くも経ってからのことだ。