SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

MICHEL SARDABY 「NIGHT CAP」

2007年07月15日 | Piano/keyboard

いわずとしれたサーダビィの最高傑作だ。
何度聴いても彼の品のあるピアノタッチに参ってしまう。一頃はジャズ喫茶の花形だったというがそれも頷ける。
ブルージーな雰囲気の中、彼の指は鍵盤の上を縦横無尽に飛び跳ねる。しかもその一音一音にそこはかとない愁いを含んでいるからたまらないのだ。彼のシングルトーンはまるで透き通ったクリスタルのようにキラキラと輝いている。

今日はいつもより思い切ってボリュームを上げて聴いている。
彼の透明感はいつも通りだが、MJQのメンバーでもあるベースのパーシー・ヒースとドラムスのコニー・ケイがすばらしくいい。
二人ともスピーカーのすぐ前で演奏しているような臨場感がある。「I'm Free Again」や「Maya」におけるコニー・ケイのブラシとハイハットの音色は何の不純物も混じっていない音に聞こえるし、「Nile Voyage」や「Satin Doll」におけるパーシー・ヒースのランニングベースと力強いベースソロを聴くたびに、もうこれ以上はないともいえるほどの快感を覚える。
これはリスナーにとって最高の喜びだ。

最近は何でもいい、いい、とかいっているので信用できない方もおられるかもしれないが、このアルバムは数あるピアノトリオの中でも最高峰の一つであると断言できる。
そう思う根拠は、何年も聴き続けてなお、新たな驚きと発見がここにあるからである。
とにもかくにも文句のつけようがない作品で、その点だけがしゃくに障るアルバムだ。