SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

ERIC REED 「MANHATTAN MELODIES」

2007年07月10日 | Piano/keyboard

セントラルパークは近年見違えるほどきれいになった。
先日テレビでパーク内の管理を行うNPOの姿を描いたドキュメンタリーが流されていたが、彼らの地道な努力によって一時は犯罪の巣と化していた公園が再び市民の憩いの場として蘇った。本当に頭の下がる思いだ。
こうしたボランティアが数多く集まるのも、セントラルパークに地域としての強い思い入れがあるからだと思う。
もちろん私は地域の人ではないので直接的な思い入れはない。しかしこの公園は単にニューヨーク市民だけのものではない特別な場所なのだと思っている。

私にとってのセントラルパークは、ホレス・シルバーの「6・ピーシズ・オブ・シルバー」のジャケットにもなったあのベンチのある風景だ。先日ご紹介したファッツ・ナヴァロの「ノスタルジア」も同様。あれはたぶんセントラルパークだろうと勝手に想像しているだけだが、この何でもない風景が私の感じるニューヨークである。
このベンチに座り足を組んで新聞を読み、ゆっくりした時間を過ごす、ただそれだけでジャズが聞こえてきそうなシチュエーションに早変わりする。
頭の中で鳴り響くのは往年の名曲ばかりだが、それらが通り過ぎるとどこからともなくエリック・リードの弾く「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」や「ニューヨーク、ニューヨークのテーマ」が聞こえてくる。
私はいつもこうした味わい深い曲を噛みしめるように聴きたいと思っている。
この作品はエリック・リードらしからぬ、メロディアスでセンチメンタルな一面を見せた傑作だ。