SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BILLY WOOTEN 「THE WOODEN GLASS RECORDED LIVE」

2007年05月15日 | Violin/Vibes/Harp

ジャズ・ファンクというジャンルがある。
これが本当にジャズといえるかどうかはぎりぎりの世界だ。ただグラント・グリーンやジミー・スミスは明らかにジャズの人だ。ならばこのビリー・ウッテンも仲間に入れてあげよう。しかし人によってはこれをジミヘンやサンタナ、はたまたジェームス・ブラウンらと同等に捉えている方も多いだろう。それはそれで結構。ジャンルなどというものは便宜上のものであって、実際はどうでもいいことなのだ。
まずは「Monkey Hips And Rice」のすさまじさを堪能しよう。
オルガンが響いてドラムスが鳴り出すとウッテンの登場だ。ヴァイヴの爽やかな音が周囲の汚れまくった空気を浄化しながら突き進んでいく。やがてギターも出てくるが、最近はあまり聞かないワウワウペダルによるエフェクトが、いかにもこの時代を反映しているかのようだ。聴衆もノリノリで、観客が吹く?ホイッスルの音まで演奏に参加する。まるで火事場騒ぎだ。

ファンクという言葉はジャズにおいても重要なキーワードだ。
50年代のハードバップは通称「ファンキー・ジャズ」と呼ばれた。但しこれとジャズ・ファンクとは似て非なるものだ。前者はおそらくブルージーな雰囲気を持ったゴスペル調の音楽であり、後者はもっとリズムが強調されたアフリカ音楽やラテン音楽をベースにしている。
この両方の音楽シーンを先導していたのもマイルスである。おそらく彼がいなかったら、ビリー・ウッテンをジャズの人と捉えることはなかったのだろうと思う。
火事場の野次馬根性で聴いてみてほしい。あなたの動物的な本能が蘇るかもしれない。