10月9日から12日にかけて行われた相馬市向陽の震災がれき仮設焼却炉での除染廃棄物試験焼却時の焼却炉データ(主灰、飛灰、排ガス中放射線量)と空間線量データの詳細が公表されないことに対し相馬市、および環境省に対し開示を求めました。
相馬市は「14日までのデータを取っている。 恣意的に隠しているわけではないので開示します。」との回答をでした。 環境庁は「手違いで公表が遅れていますが開示します。」ということでした。 その結果昨日だったと思いますが(ネットで私が確認できた時)相馬市は下に掲載したデータをHPに開示しました。 しかしなぜか環境省はまだ開示しておりません。 相馬市と同じデータを共有しているはずです。 対応は丁寧でしたが行動は不誠実というほかありません。
下の写真は以前に撮影したものです。
下表が焼却炉データです。 9日~10日は震災がれきに16.5%ほどの除染廃棄物を混合燃焼させたもの、11日~12日は33.5%ほどの混合燃焼させたものです。 (総量100トン)
相馬市の広報によると 「除染で発生した枝葉を試験焼却した結果セシウムは検出されませんでした」 「平成26年1月から焼却を開始します」 という見出しで26年3月下旬まで住宅除染枝葉や農地の牧草、たい肥など合計4675トンを震災がれきと混焼するとしています。 また4月以降もその後発生した除染枝葉の焼却を行うとしています。
市はこの決定に先立って10月25日に市区長会、市議会、仮設焼却炉周辺企業に説明、理解を得たとしています。 また排ガスからセシウムが検出された場合にはただちに焼却を中止します。 と明記しました。
しかしこれを素直に受け取っていいのでしょうか。 恣意的ではないといいながら11日以降のデータを公表せず11月のデータを公表していましたし、試験焼却にも関わらず周辺空間線量のデータは7日と14日しか出ていません。 変化がないので公表しないのかデータそのものをとらなかったのかは不明ですが、「住民の不信感を招かないようデータはすべて公表します」というお約束が守られていないことは今回の状況をみても明白で、住民軽視、安全軽視との批判はまぬがれないでしょう。
また公表されたデータによると13日に飛灰で4920ベクレル/Kgを記録しています。 8日の2700ベクレル/Kgの約2倍です。 今後も震災がれきと混焼するようですが、国が許可した8000ベクレル/Kgを超えないようにするためとでしょうし、今後の焼却において高い放射線量の除染廃棄物も出てくるでしょう、大量の放射能を含んだ灰が中間貯蔵されることにもなります。 バグフィルターによってセシウムはほとんど捕捉できるといっていますが、バグフィルターは万能ではなく新品のフィルターは捕捉率が悪く使用による目詰まりによって捕捉率があがります。 つまり使用初めは外に漏れる率が高いのです。 また微粒子は捕捉できてもガスはそのまま外に出てしまいます。 測定された 排ガスの放射線量はずっと「ND」ですが測定限界値が公表されていませんし、構造上バグフィルターは必ず漏れるものです。 そのほか焼却によって発生するダイオキシンや重金属類、塩素化合物の問題など、プラスチックから金属まで多様な物質が混合している震災がれきの焼却そのものにも専門家からその危険性が指摘されています。 どんな方法が最も安全か十分検討し、地域住民にも説明責任を果たすべきではないでしょうか。