Pa'Lante!(パランテ!)

ジャズじゃ、ロックじゃ、サルサじゃ、ソウルじゃ、ファンクじゃ、歌謡曲じゃ、ジャージャー。

パタートの傑作。まさに『Master Piece』!!!

2006-05-15 23:48:41 | Latin Jazz
カルロス・パタート・ヴァルデス(Carlos "Patato" Valdes)
『Master Piece』(1993)

パタート師は、アフロ・キューバン・ミュージックの神と言ってもいい存在。
ジャズ・ファンの方には、ポテト・ヴァルデスと言った方が、分かりがイイかもしれませんね。(何故か、50年代ブルーノートのアルバム、例えばケニー・ドーハムの『Afro-Cuban』では"Potato Valdes"とクレジットされていますね。)

音楽的に分かり易い言い方をすると、この御大は、コンガ叩きの達人中の達人。
最小限の力で、最大限に楽器を響かせる、小さな超大型巨人。
コンガに隠れそうなあの小さな体で、なんだって、こんな強力にバウンドするビートを産み出せるのか?
凄いデス・・・。
一度は、生で聴きたいデスが、大正十五年生まれだから、当年とって80歳。(今年の11月4日で80歳になります。念のため言っときますが太陽暦・・・。)
ナカナカ厳しいかな~。

ちなみに、複数のコンガを一人で叩く、現在では一般的なコンガのプレイ・スタイルは、この御大が確立して広めたと言われております。(言っていたのは、ウィリー・ナガサキ師ですので、コレは間違いアリマセン。)

さて、このアルバム。
一応「ラテン・ジャズ」に分類しておきましたが、「アフロ・キューバン・ミュージック」というのが正しいデス。
アフロ・キューバン・ジャズをもっとスマートにした「ラテン・ジャズ」の極北的な演奏もあれば、19世紀から20世紀にかけて、アフロとヨーロッパが混血してきた流れをも肌で感じさせる典雅なキューバン・ミュージック、そして、英語圏のポップ・ミュージック中心で聴いている方の耳には恐らくアフロ・ミュージックそのものに聴こえる「ルンバ」。
柱は、この三本デス。

そうデス。
アフロ・キューバン・ミュージック!
ヨーロッパの典雅な響きと、アフロ・ミュージックの強力なポリリズムが合体して生まれた音楽!
エレガントでワイルドで、美しくてダンサブル!
人類が到達した最高の音楽の一つ!!!
そのショーケースのゴトキ最高なこのアルバム!!!
ぅオぉオオオ~!!!!!

と、コーフン致しましたが、アノ冷静なハザマクロオ氏が聴いても、恐らく同じようにコーフンするに違いない。それも仕方がナイほど、このアルバムは素晴らしいのデスよ。

三本柱の一つ、典雅なパツヨロ音楽的アフロ。
例えば、一曲目「Adios Pampa Mia」。
ヒヨッ子な耳には、ナマヌルい系室内音楽に聴こえるかもしれんが、ココにこそ混血音楽の醍醐味がアルのですよ!
フルートとピアノを中心にしたパツヨロ的で典雅な音使い。
ジワジワ効いて来る控えめなアフロ・ビート。
時折、思わず針を振り切ってハミ出るティンバレス。
そして、終盤、一気に爆発する超強力なアフロ・キューバン・ビート!!!
かーッ!!!
タマランべぇッ!!!
同じ路線だと、八曲目。
「El Montuno De Patato」もあるデヨ。

二つ目の柱。
スマートで洒落て、その上、熱いラテン・ジャズ。
例えば、二曲目の「Cute」。
空を飛ぶスウィンギン・グルーヴィー・ラテン・ジャズ!!!
ベイシーで有名なニール・ヘフティのアノまったり系の曲。誰が、こんな、すげぇ飛翔系の音楽になると思いましたけ?
御大のコンガのスウィングするコト、スウィングするコト!!!
このスウィング馬力、桁ハズレ!
そンで、ベースのジョー・サンティアゴ!
このオッサンもスゲぇ。
バンド全体をグイグイ前に持って行く!!!
聴き手の時間感覚を鷲摑みだな、コリャ。
ホント、スげぇヨ!
更に!出た!
ミシェル・カミロ(Michel Camilo)!!!
このヒトのピアノ!
超絶ラテン・スウィング!!!
ウキャキャキャキャキキって右手でやって、このウラ、ウラに強烈な左手のコンピング。
もぉ、吐きそうなくらい最高にグルーヴィ!!!

そして、もう一人(というか、このアルバムのメイン)のピアニストである、ホルヘ・ダルト(Jorge Dalto)!!!
「Nica's Dream」!!!

とか書いてたら、チキショー、メチャクチャ長い記事になってるでネェの!!!

つづくッ!!!
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一万の母音と子音を使い分けて歌う原田知世サンのクローヴァー。

2006-05-13 11:28:28 | 日本のロック・ポップス


原田知世
『Clover』(1996)

連発して参りました知世さんシリーズはコレにて、一段落予定です。
ってか、ホントは『Egg Shell』で一段落予定だったんですが、このアルバム、まもなく(5/17で)、発売10年らしいというコトと、昨日、久しぶりに聴いてみて、そのヴォーカルの素晴らしさに圧倒されたというコトもあって、自分ワァ、本日ぅ、コレをぉ、取りあげてェ、みるのでェ、アリマっス!
押忍!
夜露死苦!

最初に、まず、逃げの文言から打って置きます。
えぇ、この記事のタイトルに「母音」とか「子音」とか書きましたが、ワタクシ、そこらヘンは適当です。専門的な知識と耳はありませんのでアシカラず。
も、ひとつ。
ココのところ、知世さん記事を連発しては参りましたが、ワタシはスジガネの入った知世さんファンではありません。発売日に買ったアルバムって「My Pieces」(2002)だけですし。女優とかタレントとしての知世さんには、そんなには興味ありません。(ナイとは言い切りません。・・・言えません。・・・ってか、きっとアルのね。CMで見かけると、そっち見るものね、ブッチャケ。)

さて、このアルバムは、前半5曲をトーレ・ヨハンソンがプロデュースし、後半5曲を鈴木慶一さんがプロデュースしたという、ある意味で変則的なアルバムです。で、トータルで、どっちの印象が強いのかと言うと、見事に中間デス。

慶一さんプロデュースのトラックは、それまでの三部作より、ポップな印象デスし、トーレ・プロデュースの前半は、その後の二作品より、ヒネクレてるんですよね。結果として、「マニアック」という敷居の高さはそれほど感じず、一方で「ポップ」という敷居の低さも感じないというコトになりながら、中途半端にはならず、分かり易く飽きないという、絶妙なサジ加減になっています。
その、トーレ以降のカラーと、慶一さんカラーの絶妙なクロスポイントに「100 LOVE-LETTERS」という曲がありまして、コレはホントに聴きものデス。ワタシはこの曲がCMで使われていたのを聴いて、知世さんの音楽を聴くようになってのデスね。半変態的ヒネりサウンドでありながら、異様なまでにポップにも聴こえるというスゴ曲です。(当時のアタシャ、クルセイダースとサルサばっかり聴いていたのにコレにはハマった。)

まぁ、サウンドについては、いつか別の記事立ててまた書きますが、そういう絶妙なサウンドに、絶妙にヒキ立つ歌を添えるコトが出来るのが、原田知世というヴォーカリストの凄さ。前々作の「カコ」(1994)で、英語、フランス語、イタリア語の詞を、発音の為の「Language Master」の指導の元で歌った中で、きっと、「母音」とか「子音」とかいうコトをかなり意識したのでしょうが、ソレを日本語の歌の中に意識的に活かすって、スゴい。以前も書きましたが、知世さんは、歌う時には歌詞に感情を込める意識はせず、聴いて心地よい響きになる事だけを考えて歌うそうです。何故なら、作詞をした段階で感情は込められているから、だそうデス。兼業音楽家とは、とても思えない発言。ホント、凄ぇと思います。

そういう発想で作っていったと思われるヴォーカルの完成形が、このアルバムで聴けます。
「20世紀の愛のようなはかないあの歌」とか、「Happier Than Marmalade」など。
女性ポップ・ヴォーカリストとして、多分、日本ではトップ数人中に入る実力でしょ。
是非、聴いてみて欲しいデスね。
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人生は上々だの発想はココ?

2006-05-10 23:58:06 | Rock / Pop
ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)
『Sunflower』(1970)

そう言えば、ユニコーンのハチャメチャな傑作「人生は上々だ」(89年の『服部』に入ってるアレね)の発想の元って、このアルバムの「Got To Know The Woman」だと思うんデスが、合ってますか?
どうでしょうか、詳しいカタ?

ユニコーンのエスカレートして行くやり方もイイけど、コチラのこのズッコケ方も、また途方もなくスバラシイです。
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パキート・デリヴェラ。「ムシズ~」から「サイコウ!」に変わった。

2006-05-10 23:03:32 | Latin Jazz
パキート・デリヴェラ(Paquito D'Rivera)
『La Habana-Rio-Conexion』(1992)

何故だか、このヒトのサックスって好きになれんなぁと、思っている(現在も)のですが、なんとなく、共通するのがベニー・ゴルソン(Benny Golson)。お二人とも煮え切らないソロを吹くヒトだと思っているンデスわ、ワタシ。

というコトで、ラテン・ジャズ界のトップ・プレイヤーにイキナリ冷水を浴びせるが如き文言を吐いた訳ですが、更に言うと、このアルバムって、最初、買ったのを後悔したンです。実は。
何故ならムード音楽みたいなストリングスとかが全開で、サックスの音色もマッタリしくさって、もぉ~、ムシズ~、とか思ったんですね。ワタシは、ラテンジャズにはビシビシでスリリングでギリギリなグルーヴを期待していたもんですから、「ナンジャ、この、ナマヌルイ音楽は!」・・・とか思ったんです。
ショウガナイよね~。ワタシとて若かったし。

と言うコトで、数年間は、たま~に取り出して聴いてみては、その度に「ムシズ~」(←あ、虫酸デス)とか思っていたんですが、ニンゲン、変われば変わるモンです。今や「サイコウ!」とか言いながら聴いてます。

内容は、キューバやブラジルの、メロウな楽曲をムードたっぷりに歌い上げる、というモノです。簡単に言うと。
曲目的には「どスタンダード」からオリジナルまで。
強烈な音圧で押す部分は全くないし、もう一度言いますが、アレンジやアンサンブルには分かり易いスリリングな部分はあんまりナイです。しかし、コレが分からんウチは、やっぱり青かったナ、と思います。(今も青いですが)

んで、パキートって人は、草書っぽいトコロが、表層的にはパーカーに似ているケド、全然違うよね~、と思っていたんですが、ここらヘン聴いているウチ、実はやっぱり似ているのかもしれナイと思うに至りました。

なんかこのアルバムの音楽は、ただの甘口の音楽じゃないようです。
いつの間にかヤミツキ。
パーカーの「ウィズ・ストリングス」とか聴いて比較するともっと楽しくナルかもしれないんで、ワタシの経済が回復したら、「ウィズ・ストリングス」聴いてみます。

今日はいつも以上に取り留めなく終わります。
恐縮デス。
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西海岸のひまわり兄弟。と、従兄弟。と、もう一人。

2006-05-09 23:33:06 | Rock / Pop
ビーチ・ボーイズ(The Beach Boys)
『Sunflower』(1970)

カカトの底からビーチ・ボーイズを愛するオトコとして知られていたウンチ会長が、絶賛していたこのアルバム。(15年以上ムカシの話)
やっぱ、そこまで絶賛されると、聴いてみたくもナルというもの。
そんで、7~8年前でしょうか、コレ買いました。

したっけ、何と単調なアルバム!
ナニシロ、名曲と佳曲しか入っていないンだも~ん!
駄曲があってコソ名曲が生きるってモンでしょう!

・・・とか、そんなヒネクレタ事を言いたくなるくらい素晴らしいアルバム。

一回では書き切らんので、今日は序章とします。

で、まず一つ。
ビーチ・ボーイズとリトル・フィート(Little Feat)って、一つ共通点があったのね。
ソレは、バンド内に圧倒的天才が一人居るけど、他のメンバーも相当な才人だってハナシ。

う~ん。
デニス・ウィルソンも、ブルース・ジョンストンもスゴイぞ。

で、このアルバムは、全曲、最低でも極度の佳作なんで、全部大好きなんですが、特にお気に入りなのは「Deirdre」です。ブルース・ジョンストンとブライアン・ウィルソンの共作曲。も~、このアタタカいサウンド。暖か過ぎて鳥肌が立ちますワ。ハイ。

トコロで、先程「ビーチボーイズ」って、入力して変換しようとしたら、「ボーイズ」が「ボー伊豆」って変換されました・・・。笑っちゃいますね。

・・・・・・・・・。
・・・。
シマッた・・・。
・・・貴理子ッたか。
・・・・・・・・・・・・。

オヤスミナサイ・・・・・・。
・・・。
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原田知世のもう一つの傑作『Egg Shell』に今日も完敗。

2006-05-08 23:00:01 | 日本のロック・ポップス


原田知世
『Egg Shell』(1995)

コレは原田知世のもう一つの最高傑作。
(もう一つは多分『I could be free』(1997)でしね。)

実はアタシャ、このアルバムの良さがホント言って半分も分かってナイと思うのヨ。ムーンライダース・ファンのヒトたちの方が、よっく分かっている筈です。
まぁ、そういうコトで「ココがスバラシイ」的なオハナシはできないですが、カンベンして下さいね。

さて。
まずは、このアルバムを、陰と陽で言ってみますと、コレは確実に「陰」です。
世間一般に流通している「原田知世」のイメージとはホドトオイ世界です。
カフェオレ飲んで「ほっ」とか言ってる世界では全くナイ。
「三途の川」な世界だと思うワ、これ。
ハッキリ言って相当エグイです。
覚悟して聴いてクダサイね。

いくつか曲のタイトルを並べてみまス。

「月とボロ靴とわたし」
「野営(1912からずっと)」
「のっぽのジャスティス・ちびのギルティ」
「夜にはつぐみの口の中で」

マトモな世界じゃナイです。
とは言え、一曲一曲を聴くと意外に「陽」な曲も多いんです。
でもトータルで聴くとやっぱり「陽」ではなくなる。

一曲目。
「Une belle historie」。オリジナルはよく知りませんが、ニッポンでは「Mr.サマータイム」として知られている曲。
「陰」だから、当然のゴトク雨音のSEから始まる。
しかも、無気味と言うかヘタすると妖怪のツブヤキみたいに聴こえるサンプリング音・・・。コワイ・・・。
音楽的に言うと、異様なまでに低い音を強調したアレンジメント。
当然、通常の4弦ベースでは出ない低い音。(このアルバムでは、結構多用されていまスね)
低い音って、ある程度まで行くと、人間の耳には音程が分からなくなるんですが、そういう意味で、音楽である事をやめる直前の低音を駆使した曲デスね。
ストリングスも低音を強調スル、生温い風。
そして間奏。奈落の底から、聴こえてくる微妙に曇って響くピアノ。
弱音ペダル使ったピアノの音デスね。弱音ベダルって、一つ布をカマすんじゃなかったっけ?
要は、直接的にではなく、ナニカ一枚隔てて聴こえてくる世界。
徹底して、明確さとかリアリティを剥ぎ取った音楽。コワイ・・・。
しかも、意図的に生気を消したかのような知世さんのボーカル。
すゲぇ・・・。

二曲目。
「月が横切る十三夜」。
作詞・作曲からアレンジまで原田知世。
一曲目で海底まで沈んだワケですが、今度は一気に月まで浮かび上がる。
しかし、太陽までではナイ。月まで、である。
夜だ・・・。
「陰」だ。やっぱ・・・。
しかも、この月はヴァーチャルな月かもしれないのでアリマス。
ナニしろ、ゲーム音まで聴こえるしナ・・・。

そんで、長くなるから中略なんですが、途中では、時間を越えて1912年から漂っている野営の無線をノイズ混じりで傍受するし、救急車のオトも聴こえるし、知世さんのボーカルにはディストーションまでカカルし(「二十一世紀の精神異常者」かっての・・・)、遂には「涙のシャンソン日記」(モチロンこんな膾炙した邦題はこのアルバムのドコを探しても載ってません)ではアンドロイド化しているようにも思えるし、トニカク徹底して、そういう音楽。

最後の曲は「T'EN VA PAS」。
数あるヴァージョンの中でもコノ「T'EN VA PAS」は特別に異様なヴァージョン。
霧の中から浮かんでは消えて行く「T'EN VA PAS」。
曲なのに、霧の中から浮かんで来るンですよ!
しかも、現れてから消えてまた現れての繰り返しなんデスよ!
何てコトだ!

詳しくは言えませんが、ワタシにはかなり仏教な世界に聴こえる。
・・・ご丁寧に鐘の音まで聴こえるし。
ゴ~ん、ゴ~ん・・・。

更に、鈴の音まで・・・。
じゃら~ン、ジャリ~ん。
あぁ、チベットの巡礼な世界ダ・・・。

マジかよ・・・。

最後は魑魅魍魎のウナリ声みたいな風の音で終わるし・・・。

あなたはホントにアイドル女優だったヒトなのか・・・。
コレでは誰もスキーには連れて行けまい・・・。ホント。

しかし、トンデモないアルバムですワ。
未だに謎も多過ぎる。

あぁ、今回は完敗ダ・・・。
・・・またチャレンジします。

しかしねぇ、アルバムタイトルだってサぁ、「卵の殻」デスよ。
しかもジャケ写の知世さんの髪型、メドゥーサみたいじゃないノよ・・・。

しかし、徹底した誤読かもな~。我ながら。

ホンジャ、今日のトコはこれまでで・・・。
オヨヨ・・・。・・・。
・・・・・・・・・。
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原田知世サンの『カコ』は並のカヴァー集ではナイ。

2006-05-07 21:38:28 | 日本のロック・ポップス


原田知世
「カコ」(1994)

鈴木慶一プロデュース第二弾。
60年代ポップスを中心にしたカヴァー集。

曲目をあえて邦題で幾つか並べると・・・

「この世の果てまで」
「砂に消えた涙」
「ウィンチェスターの鐘」
「青春の光と影」
 などなど。

ちなみに、このアルバムのジャケやライナーや帯のドコを探しても邦題は掲載されていない・・・。何故か?
恐らく「皆さんが知っているあの曲」とは違うモノになっているから「皆さんが知っている邦題」は載せなかったという事でしょう。そういう事で、コレは並のカヴァー集ではな~い!

サウンドの基本は、鈴木慶一サンによる打ち込み。
当然、かなりネジったサウンドです。
(ただし、完全に一回転ネジリしているので、意外と分かり易いサウンドになっていると思います、ワタシ的にゃ。)

具体的には・・・。
夢のような音色のシンセ。
機械音のようなノイズ。
アコースティック・サウンド(ギターはDr.Kこと徳武弘文サンです)。
そして、声。

しかし、深いエコーが掛かったとしても、ドコか醒めた感覚。
言うならば、宙に浮かんで、かつ、明晰に過去を俯瞰している感じ。
決して癒し系ではナイです。甘口でもナイです。この音楽。
ちょっと凄い。

それから、ジャケット写真。
コドモの頃の知世さんかと思うでしょうがサニアラズ。
これは、写真家・植田正治氏の作品で、写っている少女はその娘さん(カコ)だそうです。どうやら、アルバムのタイトルはコレと、「過去」を引っ掛けてつけたようです。(と、どっかに書いてありました・・・
(ちなみに、調べたらカコさんの生まれは1938年なので、この写真に取り込まれている時間は恐らく1940年代のモノ。このアルバムは、写真の中の時間と、現在を繋げるタイムマシン系音楽でもあるという感じがしますね。)

そんで、ひとつ驚くコトがあります。
裏ジャケのクレジットを見ると、「Language Master」ってのが載ってるんですね。
このアルバムは、英語、イタリア語、フランス語で歌われているのんで、発音を徹底したってコトなんだと思いますが、わざわざクレジットするってのは、かなり重視したというコトでしょうね。
そして、どうもこの発音を徹底する中で、声の響きを意識的に使い分ける、という技を知世さんは体得したようで、次作以降のボーカルは明らかにスタイルが変わりマス。(このアタリから、この方は、高度な技術を駆使するスゲぇ技巧派ボーカリストになって行く訳でして、聴くワレワレも覚悟しましょう。)

コレはハッキリ言って名盤です。
原田知世の代表曲の一つともなった「T'EN VA PAS」も収録されています。
四の五の言っても、聴きまショウね。
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劇的な再会と永遠の別れ。ただし即席の巻。

2006-05-07 18:30:13 | その他
ンま~ったくオンガクの話ではナイのですが・・・。
こんなモノが近所のスーパーに売られていました。

十数年振りに見た・・・。
別にウマイものでもないが、思わず買ってしまった・・・。
「激めん」だけに劇的な再会であると言えよう。
(ン?ゲキの字は別の字か。)

そう言えば、コンナものも売っていた・・・。

思わず買ってしまった・・・。

B級ドコロではないC級グルメ。(「グルメ」と付ける事自体、間違っているな・・・)

まぁ、もう一生コレを食べるコトはナイでしょう。
激めんよ、サラヴァ!
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桑田佳祐『夷撫悶汰レイト・ショー』。

2006-05-07 15:07:53 | Jazz / Cross Over
そう言えば4年前のGWにDVDプレイヤーを購入したんですが、そん時、ナニカ観る物をって思って、最初に買ったDVDソフトがコレなんです。

桑田佳祐
『夷撫悶汰レイト・ショー』(1997)

えぇ、ヒトコトで言うと「桑田佳祐、ジャズを歌う」です。
そういうオモムキのショーを1996年に行なっていたワケです。
スタンダードばかり30曲程歌ってます。(ってか、普段ジャズじゃないヒトがやるんだから、スタンダード以外やりようがナイけど・・・)

夷撫悶汰は「いぶもんた」と読みます。
イヴ・モンタンのモジリですね。
ナジョして、ジャズを演るショーの名前にイヴ・モンタン?
と、言う気もシマスが、まぁ、気にしない。
本人も当然分かっててコノようなタイトルにしている筈。

バック・ミュージシャンは、ジャズをメインフィールドに活動している名手を中心に揃えています。(例:ポン太、島健、小倉博和、村田陽一、近藤和彦・・・敬称略)

Jポップしか聴かないヒトが急増したのは、多分90年代に入ってからだと思うんですが、そういう意味で、1996年に桑田サンがこういうコトをやったのって、凄い意味があると思ったりしますね~。
Jポップのど真ん中に居る桑田佳祐という人の音楽は、ジャズを含めた幅広いポップ・ミュージックを吸収する事で出来上がっている、って、本人が言っているようなモンですよね。だから、色んな音楽をお聴きなさいって、言ってもいるような。

多分、このショーを観に来ていたヒトの多くはサザンのファンでしょう。
そん中に、ジャズを聴く人がドレだけ混じっているかは分かりませんが、大多数はジャズなんて、滅多に聴かないヒト達のハズ。
だから、ここに来た人の何%かでも、ジャズってイイーネッ!ってなって、何かCDを買ってみたりしてオンガクの裾野が広がっていればイイと思うし、多分広がったでしょう。

桑田佳祐というヒトは音楽の伝道師でもあるンですね、きっと。
スンげぇ作品ではありませんが、エライ楽しいDVDでっせ。
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原田知世サンの『GARDEN』で密室世界旅行のススメ。

2006-05-06 20:30:57 | 日本のロック・ポップス


目の保養にナルのでジャケ写、デカくしておきまス。

原田知世
「Garden」(1992)

えー、驚きの一枚。
日常から異世界へのトビラな一枚。
時間と空間を飛んでシマイタイ貴方、必聴デス。

サウンド的には、無国籍、と言うか多国籍な感じ。
ルボップとかラワープみたいな中央アジアの撥弦楽器を擬した音から、ブルガリアン・ヴォイスの如きコーラス。「古き良きポピュラー音楽」のようなピアノとストリング。そんでミュゼットに、弦のカルテット。
アルバムのタイトルは「GARDEN」ですが、「お宅の庭は全世界ですか~」と言いたくなるアッチコッチな異国情緒。しかし、アッチコッチながら、アルバムを通してバラバラな感じはしない。全てに原田知世というフィルタが掛かっているからだと思いますが、一つ言ってみると「密室的世界旅行」な音世界といった統一感はアリマス。かなり凝った音作りデスね。

さて。
ソレまでの知世さんのアルバムは、あくまでも「女優・原田知世が歌ったアルバム」という感じがしましたが、このアルバム以降は「シンガー・原田知世」または「音楽家・原田知世」のアルバムになったという感じがします。
インタビュー記事や、ライナーを見ると、プリ・プロダクションからご本人が関わるようになったそうで、コトバの選択から音色の決定に至るまで原田知世の判断と好みが反映されているヨウです。というコトでまぁ、作詞、作曲、編曲を誰が行なっているかに関わらず、制作過程で「原田知世」というフィルタがかかるようになったワケですね。(それまでは、誰かが作った音と詩に「原田知世」というフレーヴァーがふりかけられていた、という感じデス。)

プロデューサーは鈴木慶一サンです。
コ・プロデュースに知世サン。
知世サンは数曲で作詞、作曲、そして二曲では編曲からプログラミングまでやってノけている。(驚き!)

あと、肝心のボーカルですが、その後の「技巧派全開」な歌い方ではなく割とストレートに歌っていますね。サウンドがストレートなモノでは無いだけに、コレはかなり合っていると思います。とは言え、ストレートと言っても、かなり意識的に声の響かせ方を使い分けているようで、やはり、原田知世というボーカリストはスゲェなぁと思うのでありました。どもども。
コメント (2)
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1958年のパリのブレイキーはコレもある。

2006-05-05 22:42:52 | Jazz / Cross Over
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ(Art Blakey And Jazz Messengers)
「1958 - Paris Olympia」(1958)

圧倒的名盤として知られているクラブ・サンジェルマンのライヴと同時期のライブです。アチラの名盤では演っていない冒頭3曲が聴き物でしょうか。
「Just By Myself」と「I Remember Clifford」と「Are You Real」。

「Just By Myself」はジャズのライヴ演奏としては、かなり短めで4分半くらい。曲自体は急速なテンポであり、明るめな曲調ながら微妙な哀愁を漂わすという、中々にタマランものでもありますが、ラッパやサックスのソロにおける、大将ブレイキーのドラム、ケツをプッシュするドバドバな煽りと、ピアノとのコンビネーションによる、スビスバなシンコペが強力。
何度でも聴きたい熱いグルーヴ。ボビー・ティモンズのピアノ・ソロのずらしていく奇数フレーズも秀逸。カッコイイ。

「I Remember Clifford」は、この名曲の演奏の中でも名演の部類ではないかと思います。モーガンのトランペット、ボビー・ティモンズのピアノ・ソロ。素晴らしく美しい。そして、テーマを歌い上げるラッパの美しいコト。

「Are You Real」。
この曲については、スタジオ盤(モチロン「Moanin'」です)の方が好きですね。
コッチもイイんですけど、アッチはベースソロが更にイイんですよ。(あのジミー・メリットのベース・ソロはかなり好きです。)しかし、リー・モーガンのコレ見ヨガシな駆け上がりフレーズとかは、コチラのヴァージョンもメッチャかっこイイですね。そして、大将のドラムは、やはりここでもカッコいいです。

上記三曲はいずれもベニー・ゴルソンの作曲。
曲自体のメロディも素晴らしいデスね。

あとは、お馴染みの「Moanin'」とか「Blues March」とか演ってます。
JMにとっては標準的な演奏かもしれないデスが、このヒトらの標準は、黒くて熱くてファンキーでスンバラシイですね。
それにしても、「Moanin'」の真っ黒さは、ホント凄い。
ドス黒いと言ってもイイかもしれない。特にボビー・ティモンズのピアノ・ソロ。
絶対に白人ではないコトが感じられる極黒ピアノ。最高!

と、コレで記事を終わらせようとしてたんデスが、また「Justice」のドラムが凄いコトになってマスね。近づいたらきっと毒汗が飛んできて、命に関わるに違いナイ。と、思わせるスゲぇドラム。大技小技を取り混ぜての煽りの極北。実に多彩。ソロイストとの相互の反応もすんゲェ!そしてドラム・ソロのスっゲぇ事!

それにしても、ブレイキーのドラムは、本当に強力なコンボのエンジンですね。スゲぇ出力!

というコトでゴザイマス。
クラブ・サンジェルマンのライヴが好きなら、コチラもお買い上げ下さいませ。
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iTMSでの購入、ロボットが100曲を突破。

2006-05-04 11:45:10 | Soul / Funk / Dance
iTunes Music Storeでの購入が100曲を突破シマシタ。

パッケージ商品の値段だったら買わなかったと思われる、ビミョーな線上にあるモンが、iTMSで購入したモンの中心ですね、やっぱり。

で、記念すべき(でもないが)100曲目突破はコヤツだ。

ダフト・パンク(Daft Punk)
「Human After All」(2005)

まさか、おフランスのテクノを買うとはiTMSがオープンした時にはま~ったく思っていなかったデスね。最初に買ったのはラブ・アンリミテッド・オーケストラの「愛のテーマ」と寺尾サンの「ルビーの指環」だったし。

で、先日やはりiTMSで購入した「Discovery」(2001)はあまりにポップで、ワタシ的には最高なアルバムだったんで、逆に少し「?」だったんですが、この「Human After All」は、無機的な感覚が強烈になっていて、非常にスバラシイ。
(あ、「Discovery」でポップと言ってもELOのじゃなくて、ダフトパンクのね。)

しっかし、このカッコ良さは、何だかメタルに近い感覚があるンですが、どうなんでしょうね。音的にはま~ったく違うのにね~。ムチャな表現をすると、中期YMOとジューダス・プリースト(メタルゴッド!!!)がごちゃ混ぜになって、アレして、コレしてって感じです。
イヤ、感覚のハナシです。音は違います。

んで、先ほど無機的と書きましたが、単に機械的という感じではなくって、「無機的な肉体が躍動スル」って感じの「無機的」のように思いマス。何ノ事ヤラ、な表現で恐縮でスが、ロウトルなアタクシが聴けるのは、テクノと言えど、肉体的な音楽になっているからなんでしょう。

音楽的な特徴としてスグ気が付くのは、曲の進行の中で「変化」はあってもほとんど「展開」はしないという事すかね。ドラマティックな展開を排除したって感じ。(ドラマティックどころの話じゃなくって、ほとんどループです)
あとはキャッチーなメロディとかもほとんど無しですね。
こういうクールなトコが「Discovery」よりもハードでソリッドに聴こえるトコロなんでしょうね。
とにかくコレはカッコエエです!

特に「Robot Rock」は破壊力抜群。
新しい音楽快楽を探している、ワタシと同じような「古典的音楽」愛好家にはゼヒお勧めしたいと思いますデス。

そして、アナタの経済も、ワタシの財布とイッショに抜群に破壊されまショウ・・・。
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大佐のアレンジはやはり凄い。

2006-05-01 21:18:51 | Latin Jazz
ハヴァタンパ(Havatampa)
「Havatampa」(1998)

このアルバムに入っている「Naima」。
かナり最高!

簡単に言うと。
マイルスが、ギル・エヴァンスの緻密なアレンジに乗って、クールなハチ六のアフロ・ビートでコルトレーンの「Naima」を演る、って感じです。

濃密なジャングルの熱帯夜。という感じもしまスですね。

さすがに、キューバ人をも唸らせたという吉田憲司大佐によるアレンジは、ソンジョそこらのモンとは違います。
大所帯のラテン・ジャズで、こういうアレンジって、世界広しと言えども、大佐にしかできないに違いない。
本当の一流って感じです。
いやぁ、スバラシイです。
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自分が格闘家ならこの曲で入場するぜ!な曲。

2006-05-01 01:29:05 | Jazz / Cross Over
「格闘家」は「かくとうか」と読むのであって、「かくとうけ」と読むと大概笑われます。「かくとうや」とも読みません。(cf:「吉野家」)
何でコンな事を書くのでしょうか。
きっと何か思い出がアルのでしょう。

と言うコトで本題に入ります。

岩詩人さんから『自分が格闘家なら、この曲で入場するぜ!バトン』というバトンを頂きました。

要は・・・
というか、名前の通りのそういうバトンだソウデス。

で、選びました。

マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「Miles Davis At Fillmore」(1970)からドレか一曲!
・・・それでは。
"Wednesday Miles"の「Directions」にシマショウ。
トニカク凶暴でノイジーで最高にカッコいいから。
本格的に血がタギリますね。ほえ~。
マイルスにはボクサーのドキュメントのサントラ「A Tribute To Jack Johnson」もありますんで、そっちでも良いような気もします。
いずれにしろ、電気マイルスは血がタギリますね

ついでに言っておくと、この日のフィルモア・イースト、マイルスの演奏の後は、ローラ・ニーロ(Laura Nyro)の出番なのであった。
あぁ、オレ、この日のフィルモア・イーストに是非行きたい。

試聴はコチラでどうぞ。
   ↓↓↓
At Fillmore: Live at the Fillmore East
Miles Davis
Tristar

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次点としては、ファニア・オール・スターズ(Fania All Stars)の「Live At The Cheetah」(1971)から「Ponte Duro」。
「Our Latin Thing」では闘鶏のシーンに使われてたし、モノ凄く熱いし、ワシ、酉年だからチョードいいかなと。

以上で、ゴザイマス。
どなたか、よろしかったら、バトン、持ってい行ってみてクダサイね。
コメント (2)
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