Pa'Lante!(パランテ!)

ジャズじゃ、ロックじゃ、サルサじゃ、ソウルじゃ、ファンクじゃ、歌謡曲じゃ、ジャージャー。

原田知世のもう一つの傑作『Egg Shell』に今日も完敗。

2006-05-08 23:00:01 | 日本のロック・ポップス


原田知世
『Egg Shell』(1995)

コレは原田知世のもう一つの最高傑作。
(もう一つは多分『I could be free』(1997)でしね。)

実はアタシャ、このアルバムの良さがホント言って半分も分かってナイと思うのヨ。ムーンライダース・ファンのヒトたちの方が、よっく分かっている筈です。
まぁ、そういうコトで「ココがスバラシイ」的なオハナシはできないですが、カンベンして下さいね。

さて。
まずは、このアルバムを、陰と陽で言ってみますと、コレは確実に「陰」です。
世間一般に流通している「原田知世」のイメージとはホドトオイ世界です。
カフェオレ飲んで「ほっ」とか言ってる世界では全くナイ。
「三途の川」な世界だと思うワ、これ。
ハッキリ言って相当エグイです。
覚悟して聴いてクダサイね。

いくつか曲のタイトルを並べてみまス。

「月とボロ靴とわたし」
「野営(1912からずっと)」
「のっぽのジャスティス・ちびのギルティ」
「夜にはつぐみの口の中で」

マトモな世界じゃナイです。
とは言え、一曲一曲を聴くと意外に「陽」な曲も多いんです。
でもトータルで聴くとやっぱり「陽」ではなくなる。

一曲目。
「Une belle historie」。オリジナルはよく知りませんが、ニッポンでは「Mr.サマータイム」として知られている曲。
「陰」だから、当然のゴトク雨音のSEから始まる。
しかも、無気味と言うかヘタすると妖怪のツブヤキみたいに聴こえるサンプリング音・・・。コワイ・・・。
音楽的に言うと、異様なまでに低い音を強調したアレンジメント。
当然、通常の4弦ベースでは出ない低い音。(このアルバムでは、結構多用されていまスね)
低い音って、ある程度まで行くと、人間の耳には音程が分からなくなるんですが、そういう意味で、音楽である事をやめる直前の低音を駆使した曲デスね。
ストリングスも低音を強調スル、生温い風。
そして間奏。奈落の底から、聴こえてくる微妙に曇って響くピアノ。
弱音ペダル使ったピアノの音デスね。弱音ベダルって、一つ布をカマすんじゃなかったっけ?
要は、直接的にではなく、ナニカ一枚隔てて聴こえてくる世界。
徹底して、明確さとかリアリティを剥ぎ取った音楽。コワイ・・・。
しかも、意図的に生気を消したかのような知世さんのボーカル。
すゲぇ・・・。

二曲目。
「月が横切る十三夜」。
作詞・作曲からアレンジまで原田知世。
一曲目で海底まで沈んだワケですが、今度は一気に月まで浮かび上がる。
しかし、太陽までではナイ。月まで、である。
夜だ・・・。
「陰」だ。やっぱ・・・。
しかも、この月はヴァーチャルな月かもしれないのでアリマス。
ナニしろ、ゲーム音まで聴こえるしナ・・・。

そんで、長くなるから中略なんですが、途中では、時間を越えて1912年から漂っている野営の無線をノイズ混じりで傍受するし、救急車のオトも聴こえるし、知世さんのボーカルにはディストーションまでカカルし(「二十一世紀の精神異常者」かっての・・・)、遂には「涙のシャンソン日記」(モチロンこんな膾炙した邦題はこのアルバムのドコを探しても載ってません)ではアンドロイド化しているようにも思えるし、トニカク徹底して、そういう音楽。

最後の曲は「T'EN VA PAS」。
数あるヴァージョンの中でもコノ「T'EN VA PAS」は特別に異様なヴァージョン。
霧の中から浮かんでは消えて行く「T'EN VA PAS」。
曲なのに、霧の中から浮かんで来るンですよ!
しかも、現れてから消えてまた現れての繰り返しなんデスよ!
何てコトだ!

詳しくは言えませんが、ワタシにはかなり仏教な世界に聴こえる。
・・・ご丁寧に鐘の音まで聴こえるし。
ゴ~ん、ゴ~ん・・・。

更に、鈴の音まで・・・。
じゃら~ン、ジャリ~ん。
あぁ、チベットの巡礼な世界ダ・・・。

マジかよ・・・。

最後は魑魅魍魎のウナリ声みたいな風の音で終わるし・・・。

あなたはホントにアイドル女優だったヒトなのか・・・。
コレでは誰もスキーには連れて行けまい・・・。ホント。

しかし、トンデモないアルバムですワ。
未だに謎も多過ぎる。

あぁ、今回は完敗ダ・・・。
・・・またチャレンジします。

しかしねぇ、アルバムタイトルだってサぁ、「卵の殻」デスよ。
しかもジャケ写の知世さんの髪型、メドゥーサみたいじゃないノよ・・・。

しかし、徹底した誤読かもな~。我ながら。

ホンジャ、今日のトコはこれまでで・・・。
オヨヨ・・・。・・・。
・・・・・・・・・。
コメント (4)
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