「ブラバン」
津原泰水著 新潮文庫 590円
10代の日々を思い返しながら生きるのは自虐だ。麗しい青春時代を送りえた人がいるだろうか。10代の夢はすべて叶ったと高笑いできる大人はいるだろうか。だから人はその日のみを生きようとする。
過去と現在の、泥仕合に終止符を打つ方策が、しかしここにあった。双方を連結してしまうのだ。連続させるのだ。バンドを再結成するのではなく、長く休んでいたことにする。そうすればすべてが未完の夢だ。存在するのは未完の自分と、それを取り囲む無辺の世界だけだ。コロンブスの卵である。
以上 本文より
まさしく今の私そのものだと思った。高校時代果たすことのできなかった夢を今追いかけている。「高校時代の忘れ物をとりにいく」先輩のこの一言に飛びついた。現実は怪我に泣かされているが。
この物語はどこが現在でどこからが過去なのか気づかないまま読み進んでしまう。作者は吹奏楽部出身とありなるほどと合点する。登場人物もそれぞれをイメージすることが難くない。校舎と校舎の間の風景や昼休みの風景が30年以上も時を経ているのだが鮮やかに蘇る。
思えば中学時代も高校時代もブラバンの女子とは縁があった。私も一度くらいは女子のいる文化部を経験してみたかった。「高校のクラブ活動」なんという切ない響きだろうかと、可笑しくなる。
津原泰水著 新潮文庫 590円
10代の日々を思い返しながら生きるのは自虐だ。麗しい青春時代を送りえた人がいるだろうか。10代の夢はすべて叶ったと高笑いできる大人はいるだろうか。だから人はその日のみを生きようとする。
過去と現在の、泥仕合に終止符を打つ方策が、しかしここにあった。双方を連結してしまうのだ。連続させるのだ。バンドを再結成するのではなく、長く休んでいたことにする。そうすればすべてが未完の夢だ。存在するのは未完の自分と、それを取り囲む無辺の世界だけだ。コロンブスの卵である。
以上 本文より
まさしく今の私そのものだと思った。高校時代果たすことのできなかった夢を今追いかけている。「高校時代の忘れ物をとりにいく」先輩のこの一言に飛びついた。現実は怪我に泣かされているが。
この物語はどこが現在でどこからが過去なのか気づかないまま読み進んでしまう。作者は吹奏楽部出身とありなるほどと合点する。登場人物もそれぞれをイメージすることが難くない。校舎と校舎の間の風景や昼休みの風景が30年以上も時を経ているのだが鮮やかに蘇る。
思えば中学時代も高校時代もブラバンの女子とは縁があった。私も一度くらいは女子のいる文化部を経験してみたかった。「高校のクラブ活動」なんという切ない響きだろうかと、可笑しくなる。
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