スイスサッカー協会は、少年チームにある「カード」を配布しています。ハガキくらいのサイズのカードで、子どもの大会の際、子どもたちはそのカードを応援に来ている大人たちに渡しに行きます。そのカードには以下のような言葉が並んでいます。
大人の方々へ。
ぼくたちの試合を観に来てくださってありがとうございます。
また、いつもぼくたちのスポーツ活動を支援していただいてありがとうございます。
今日という日は、ぼくたちの一日です。ぼくたちはサッカーを思う存分やろうと、
喜んでここに来ています。
もちろん、誰だって勝ちたいにきまっています。
でも、一番大切なことは「プレーができる」ということです。
だからどうか、ぼくたちの思うようにプレーさせてください。
ピッチのそばで怒鳴らないで、相手チームのサポーターに対しても、フェアでいてください。ミス・プレーをいちいち、なじらないでください。ぼくたちはしょんぼりするだけで、何の役にもたたないからです。
以上、よろしくご理解ください。
子ども一同。
そんな言葉が書かれたカードを大人は1枚ずつ手渡されます。
これをもらって大会に臨むとどうなるでしょうか。スイスサッカー協会はそんなことを考えてカードを作ったのでしょう。
応援は大騒ぎしていいのです。
「頑張れ~、いいぞ~、ナイスプレ~」
失点してしょんぼりしている選手をサポーターが元気にさせることができます。11月の高校選手権埼玉予選、母校の準決勝を大宮サッカー場で観戦しました。ベンチ外のサッカー部メンバー、同級生、ブラバン、バトン部、そして父母会が大声援を送っていました。母親らしき方々の絶叫も聞こえました。すさまじいものでした。
試合終了後、試合メンバーが相手ベンチに挨拶に行きました。その後ベンチメンバー、監督・コーチを含めて全員が応援席に挨拶に来ました。初めて見た風景はこの後で、そのまま相手応援席に行き挨拶をしました。我々の頃はありませんでした。負かした相手ベンチに挨拶に行くのはフェアプレイの延長と言えるのではないでしょうか。OBとして誇らしい気分にさせてくれました。
私はそのようなチームに育てたいと思います。負けたときこそ毅然とした態度が取れる選手に子どもたちを導きたいと感じました。
子どもに考えさせる指導というやり方ではすぐには結果は出ないかもしれません。勝つための方策を教え込む指導の方が強化になるという考え方もあると思います。
しかし「スポーツは育てるもの」と私はとらえています。
誰だって勝ちたいにきまっています。でも、一番大切なことは「プレーができる」ということです。
2学期いくつかの大会や練習マッチを行いました。私が感じたのは、我がクラブのサポーターが、最もジェントルで、最もエレガントだったということです。
私も、心はホットに、頭はクールに、ジェントルな指導者となれるよう努力してまいります。
これからもよろしくお願いいたします。