ぶらっとJAPAN

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泣く子も黙る世界遺産 ~京都 東寺(教王護国寺)~

2015-04-28 22:35:14 | 京都

 春季京都非公開文化財特別公開(ああ言いづらい)第2弾。世界遺産の東寺(教王護国寺)のご紹介です。ここは気軽に見られる京都世界遺産ベスト3に入るんじゃないでしょうか。見どころも多いです。お庭は綺麗ですし(春には桜のライトアップもあります)、なんといってもこの五重塔ですよね。近代的道路のすぐそばにそびえ立つこの塔、近くでみるとやっぱり迫力です。鐘なんか鳴ろうものなら、おおおってのけぞっちゃう。重厚~。新幹線の窓からも見えるこの五重塔は、京都のシンボル的存在と言えます。日本で一番高い五重塔だそうです。

 今回の特別公開は、この五重塔の初層内部が拝観できます。私はお正月特別公開で行きましたが、心柱(しんばしら)が印象に残りました。その技術が東京スカイツリーにも応用されている、建物の真ん中に一本ずしんと通っている柱です。五重塔内部ではこの心柱を大日如来に見立て(見立ててるのではなく、そのものかも)周りを四尊の如来、八尊の菩薩が囲んでいます。古い建物なので、痛みが激しいところもありますが、信仰の場としての、引き締まった空気が歴史を感じさせます。

 そして、こちらが国宝の御影堂。弘法大師がお住まいになったといわれている場所です。毎朝6時から生身供(しょうじんく)が行われています。今でも生きていると信じられている弘法大師様にお食事をお出しする儀式ですね。

 今さらここで書くまでもないかもしれませんが、この御影堂が有名な理由の一つは、司馬遼太郎さんの『古寺巡礼』によるものです。写真の左側に看板が少し写っています。

「京の寺を歩くには平安京最古の遺構であるこの御影堂から始めるのがふさわしいから」という理由で、司馬さんは、人に京都を案内する時は、いつもここで待ち合わせをしたんだそうです。

 ・・・なにせ、泣く子も黙る世界遺産ですから、皆様すでにあちこちのブログでこの辺のことは書いてらっしゃるんですよね。しかももっと詳しく美しい写真付きで(^^;)

 まあ、でも基本は抑えておくべきかなと思うので書きました。

 私の東寺に対する印象は、凄く開けているのにきっちりと勤めを果たしていらっしゃりそうなお寺。弘法大師の偉大さなのかなと思います。

 私が東寺をよく訪れるのは、お正月に御宝印を授受してもらいにくるからです。毎年1月3日、厄除けを祈願して、御影堂内の柱、お坊様の頭に御宝印を押していく法要があります。そのあと、御影堂の南側で一般の方にも御宝印を授けてくださるのです。

 偉いお坊様がたくさんのお坊様を引き連れて真言(のうまくさんまんだばあさらだんせんだんまあかろしゃだそわたやうんたらたかんまん)を三度ずつ唱えながらカカン、カンとリズミカルに、柱に朱を押して行きます。すべての柱に押し終わったあと、一般の方への授与が始まります。

 500円で半紙1枚に6個いただけるのですが希望者は頭にも直接押してもらえます。

 この御宝印を知ったのは偶然で、新幹線に乗るまでの時間つぶしに(不敬ですみません)東寺を訪れ、たまたま行列を見かけたのです。東日本大震災の翌年でしたが、その時に漏れ聞いたお坊様の話によると、前年とは考えられないくらいたくさんの人が並んだそうです。行列は年々増え続け、今ではけっこう並ばないといけなくなったので、実は今年は挫折して行ってません(^^;)寒いんでね・・・。

 弘法大師の念持仏だったので、この御影堂には不動明王が祀られているのですが、法要の時には御影堂の南側、不動明王の御宝前で護摩が焚かれます。御宝印を待つ場所が、いつもその護摩法要の前なので、見るとはなしに見ることになるのですけれども、たくさんの方の願いが書かれた護摩木をひとつひとつ丁寧に矢倉に組んでは火にくべていく作業はまさに、祈りという行為にふさわしくみえます。

 特に、東日本大震災の翌年は、私の勝手な想像ですけれども、祈ることしかできない無力さのなかで、それでも淡々と一心に焚いているように見えました。私は特別に信仰を持つ人間ではありませんが、そんな姿を見ていると自然と敬虔な気持ちになって、手を合わせたことを覚えています。

そして。

その護摩供養の前に、私の大好きなお身ぬぐいの亀くんがいます。

 

すいません。あふれる愛のあまり迫力のどアップです。カワイイ 牙すらカワイイ。

興味ある方は記事『ご機嫌なカメ』ご覧ください。

 五重塔だけでなく、お庭、御影堂、亀くん(笑)と盛りだくさんですが、まだあります!

 数々の傑作彫刻が並ぶ金堂と講堂。特にオススメは講堂の立体曼荼羅です。弘法大師は仏の教えを皆にわかりやすく示すために、この立体曼荼羅を作られました。が、残念ながら私には難しいことはわかりませんが、(^^; その美しさだけはよーくわかります。

 美術館ではないので照明もうす暗く、360度の角度で観られないなど難点もありますが、ホームにいるというくつろいだ雰囲気は感じられるかもしれません。どうぞ目を凝らして、できる限り近寄ってご覧になってみてください。その精巧さ、生き生きとした様に驚かれると思います。

(というのも以前、これらの一部を博物館で観たことがあって、美術品として充分以上に楽しめましたが、信仰の対象としてはちょっと減点、て感じでした)

 特に気に入ってるのが持国天と帝釈天です。持国天はその憤怒の形相、帝釈天はその静謐で整ったお顔が忘れがたいです。神様が憤怒の顔、というのも当時は衝撃的だったようですね。弘法大師のお声がかりで超一流の人たちを集めて創られたわけですから、極上品なのは間違いないです。

 こうやって書いてると、また見たくなってきました(笑)

 さすが泣く子も黙る世界遺産。見ごたえ十分です。

 

コメント
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