昨日は、遅い更新&長文にも関わらず、たくさんの方にお越しいただきました。ありがとうこざいますm(_ _)m
だからというわけではないですが、本日は早めの更新です。
団十郎桜を見て思い出したのが、十八世中村勘三郎さんのこと。ちょうど今、勘九郎・七之助兄弟の新生平成中村座が浅草で公演中ですね。
私が観に行ったのはもうずいぶん前ですが、今日はその時のあれこれをご紹介。
演目は通し狂言『仮名手本忠臣蔵』。リーマンショック以前のことですから、ずいぶん前(^^;
仁左衛門さんが由良之助で、勘三郎さんが塩冶判官。あと、オリジナルバージョンと若手バージョンがあって、勘三郎・勘九郎父子がそれぞれで、勘平腹切りの場をやってらっしゃいました。役者としての技量はもちろんお父様が数段上ですが、勘九郎さんは実年齢に近く、ナマの若さとひたむきさが勘平のあせりや苦悩にシンクロして、清冽な共感できる勘平でした。
忘れられないのが、舞台上から勘三郎さんに怒られたこと(笑)。
前から6番目という良い席だったのですが、何でか忘れましたけど、休憩中に持ってきたパンを食べきれなかったんですね。でも、おなかすいてると芝居に集中できないから、あとちょっとだし、と食べ続けてたわけです。
そしたら、これ絶対間違いないと確信してますが、舞台上の勘三郎さんからものすごい目でにらまれた。
舞台がとても近いし、客席も明るいからよく見えたと思われます。
いや、ほんとですって。パンの袋のぱりぱり言う音が気になったんでしょうね。でも、そーっとそーっと手で隠しながら、根性で食べ終えたけど。
もう一つは、トイレ休憩。
仮設の舞台なので、トイレも簡易で設置されてるわけですが、歌舞伎座とは違い数も少ないので、短い休憩時間に希望者全員が利用するのは大変。そこで、おトイレお姉さんみたいなのがスタンバっていて、実に見事に誘導していくんです。トイレの扉の上に番号札が絶妙な角度でついていて、扉が開くと、その数字が見える。すると、お姉さんがすかさず「×番にどうぞ」って、そりゃあキレイに人を裁いていくわけです。ドアが開閉するリズミカルな音と、大道芸人の口上みたいなお姉さんの語り口が楽しくて、待っている間も全然退屈しません。あれはもう芸です。お姉さんも自ら「中村座名物」とおっしゃってました。小屋にいる間はずっと楽しませる。そんな心意気が伝わってきます。
勘三郎さんが亡くなった時、ほんとに日本中っていいくらい皆さん悲しんで、勘九郎さんも「どうしていいかわかりません」とうつむき、七之助さんも厳しい表情でした。
時が過ぎ、勘三郎さんの思い出を笑顔で語れるようになって、そして、ついに3年ぶりの平成中村座復活です。
一番太鼓を聞いて、勘九郎さんも感極まっていらっしゃいましたが、素敵な涙でした。
私が初めて勘三郎さんの舞台を拝見したのは、ちょうど今の勘九郎さんぐらいのお歳の頃。実力も人気もうなぎのぼりで、そりゃあすごかった。役者の伸びる時期って、こんなにすさまじいものかと感嘆し、同時に「時分の花」に立ち会えた幸福に感謝したものです。
勘九郎さんも七之助さんも、ここ数年で、見事にお顔が変わりましたね。
まさに新たな「時分の花」です。
お二人とも、ますますお父さんに似てきた。特に勘九郎さん。ときどき、勘三郎さんが中に入ってるんじゃないかと本気で思う。
ほんとにがんばってほしい。応援してます。
よっ、中村屋!
お大尽席の方を乗せたと思われるオシャレな車。