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漱石と京都【大山崎山荘美術館】

2017-05-24 21:56:20 | アート

絵になる美術館です。

 

妙喜庵に行った帰り、足を延ばして大山崎山荘美術館に行ってきました。天下分け目の天王山の入り口近く、ここは紅葉の名所としても有名な緑豊かなところです。

建物や調度品も豪華だし、モネの『睡蓮』はあるし、ただ訪れるだけでも楽しいところですが、本日のお目当ては開催中の『漱石と京都』。

漱石は生涯で4度、京都を訪れています。その時に関西の実業家・加賀正太郎の熱心な誘いで建設中の山荘を訪れたんだとか。滞在時に詠んだらしい句碑が山崎山荘の入り口にあります。漱石と言えば江戸・東京のイメージが強いので、ザ・京都な場所で漱石の気配を辿るのは不思議な感じです。

今回の展覧会は、山荘の命名を頼まれたことから、呼称案を記した書簡や日記など、主に文献が展示されていました。目を引いたのは京都訪問の印象をつづった『京に着ける夕』。とにかく京都は淋しいところであること、ぜんざいのちょうちんがやたら目についたこと、そしてとても寒いことなど、率直な感想が綴られています。生き馬の目を抜く大都会東京に暮らしていると、山や川に囲まれた京都はものさびしく感じるようですね。

漱石は実際にぜんざいを食したわけではなく、初めて京都を訪れた時に軒先にぜんざいと書かれた赤い大提灯をみて、これが京都だなと感じたということですが、簡潔な表現ながらも鮮やかな色彩と古い木造の町家の情景がくっきりと目に浮かんで、漱石の印象に大きくうなずくものがありました。そもそも、ぜんざいっていう名称は、確か、関東にはないんですよね。 あちらは田舎汁粉と言うんでしたっけ? 東京の甘味屋で注文に四苦八苦した覚えがあります。

漱石初めての訪問は『京に着ける夕』の15、6年前。正岡子規と一緒でした。その時を回想していますが、「ああ子規は死んでしまった。糸瓜のごとく干枯(ひから)びて死んでしまった。」という哀切極まりない一節が心に残っています。

漱石は大好きな作家ですが、実は京都を舞台にした『虞美人草』は未読。とても難解で一度挫折しています^^;

京都の町でなら読めるかもしれません。これを機会に、近いうち再チャレンジしてみたいと思います

赤い葉っぱがちらほら。

 

 


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