傾いててすみません
神戸市立博物館で開催中のボストン美術館展に行ってきました
ゴッホ目当てだったのですが、アジアからヨーロッパ、そして古代エジプトから村上隆まで、まさに古今東西の幅広い芸術品を一挙に観られてとても面白い展覧会でした。
古代エジプト品は精巧な技術と装飾品の豪華さがスゴイ だいたいBC2900年ってどんだけ昔よ! と心の中で突っ込みまくりです。調べたら日本なんてまだ縄文時代。同じ時期にこれほど豊かな文明があったなんて信じられません。オリックスをかたどった壺や王様の顔など見事な写実は優れた道具と技術があってこそのもの。それを支えるのは潤沢な資金ですよね。生活レベルもさぞ高かったのでは(一部の上流階級だけかもしれませんが)。
ハーバード大学と共同で発掘したそうですが、土の中からこんなものが出てきたら夢中になるのもわかります。最初の展示ということもありましたが、この日もエジプトコーナーが一番混雑していました。
日本美術もめぼしい作家はひととおり揃う充実のラインナップです。仁清の香合や乾山の角皿、絵画は酒井抱一から蕪村、司馬江漢などなど、どれも名品でコレクターのセンスが光ります。教科書にも出てくるフェノロサやモースが実際に日本を訪れたときに地道に蒐集したそうですが、どういうところに魅かれたのか、とても興味があります。当時の日本人自体にもどんな印象を持ったのでしょうね。個人的には渋めの鼠志野がお気に入りでした。
そして、本展覧会の目玉の一つが英一蝶の『涅槃図』です。芭蕉や其角と交流もあり、吉原で幇間(!)もやっていたというその人生に興味ありの画家です。
劣化が進んでいたのでこの度の里帰りに合わせて1年かけて修復され、その様子がビデオで紹介されていました。
ありとあらゆる人間や動物が一堂に会する涅槃図は作家の腕の見せ所であり、またそのモチーフから、作者自身の深い思い入れと祈りがこめられていると思うのですが、それを日本人でない方たちが大事に保管、修理してくださるのは同じ日本人としてうれしいですね。
ヨーロッパは印象派を中心にこれもまたいい絵が揃っていました。全体的に美しい景色と静謐な空気が感じられるもので、ハンバーガーやディズニーランドのイメージが強いアメリカでこんな絵が人気を得たことが少し意外でした。
ゴッホは肖像画が2点。郵便配達人はゴッホにしてはおとなしめですが、表情やたたずまいからゴッホがこの人物を愛していたことが伝わってくるし、一方、ルーラン夫人ゴッホらしい鮮やかな色づかいで、その温かい人柄を偲ばせます。穏やかなゴッホが感じられて、きっとこの2人といる時間はとても幸せだったんだろうと拝察します。
現代美術はあまり詳しくないので、今回初見の人が多かったのですが、個人的には良かったのは版画。質感の荒さや濃淡のメリハリなど、作り手の自由度が写真よりも反映される気がして、リアルとは少しずれた景色にイマジネーションが広がって見飽きません。
アンディ・ウォーホルのジャッキー(ジャクリーン・ケネディ)が展示されていました。ヘンな言い方ですが、やっぱりアートなんだなって思いますね。色をのせた白黒写真の肖像画を2枚並べているだけなんですけど、『アート』なんですよ、これが。この感じわかっていただけるでしょうか。さすがウォーホル。素晴らしいセンスです。
神戸市立博物館はいつも楽しみな記念写真コーナー。今回のテーマは『涅槃図』。
集まった動物たちがそれぞれ棒つきの切り絵に加工されていて、これを持って撮影できます。動物たちに紛れて絵の一部になってくださいという意図でしょうか。
これが…。
こうなる(笑)。
入滅の現場ということを考えれば、笑顔というのもちょっとはばかられる気もします。でも動物たちが可愛いので、皆さん撮影時はやはり全開のスマイル^^
ま、そうですよね
この展覧会の後、神戸博物館は改修のため休館になります。けっこう来てるのでちょっと寂しいですが、念入りに館内を鑑賞して帰りました。
しばしのお別れ。
私も12月から予定はしていたのですが、忙しくてのびのびになってました。
18日に行く予定です。
brattさんの感想を参考に、観てきます。
こんばんは。
長くなるので書きませんでしたが、中国&アメリカ絵画もよかったですよ。
行ったらぜひ感想を聞かせてください