ぶらっとJAPAN

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ビルの中の浪花鑑 ~大阪市中央区高麗橋~

2015-07-27 22:15:37 | 大阪

先日、大阪・高麗橋のビル街をぷらぷら歩いていましたら、人形浄瑠璃や歌舞伎でお馴染みの『夏祭浪花鑑』(なつまつりなにわかがみ)のシーンを再現したディスプレイを発見。

実はこのお店、近代的なビルの中に江戸の建物がすっぽり入っていて前々から気になっていたのです。

時間がなくて慌ててたので人形たちの寄りばかりを撮ってしまい、イマイチ全体像がわかりづらいですが、これは主人公の「ぼて振り」魚屋・団七が過って舅の義平次を殺してしまう『長町裏』の段です。さすがに殺害の瞬間ではなく、その直前の場面が再現されています。団七が今にも掴みかかりそうですね。

小道具もしっかり調えられ、雰囲気満点。

絡み合う情念と祭の中の惨劇が、油照りと呼ばれるほどの暑すぎる大阪の夏の夜に繰り広げられるこのお芝居は、毎夏、必ずやどこかで演じられる人気演目ですが、このディスプレイはどうやら天神祭開催に合わせたものみたいです。

さらにさらに、帰って調べてみましたら、この釣り船三婦(さぶ)の家がある長町裏はこのビルがある高麗橋の目と鼻の先、堺筋の東側にあるという設定だそうで、まあ、ほぼこの辺りってことですね。ああ、惜しかったなあ。これ、天神祭当日の夜に見たら、臨場感ありまくりの盛り上がりまくりだっただろうに・・・。しかも、この後、殺人が行われることを想像したら、背筋がぞくぞくして涼しくなること間違いなしだったはず!

『長町裏』の場面は通称「泥場」と呼ばれ、本物の泥の中での格闘、その後、本水で泥を洗い流すという演出が見せ場です。

うだるような暑さも、団七の心を狂わせる要素だったのではないかと思われますが、実際、つんざくようなセミの鳴き声の中、このディスプレイを見ると、よりリアルに団七の感情のうねりが感じられる気がします。

それにしても、いくら過去の話(実話を元にしているそうですが)とはいえ、このようにエグい話が夏の風物詩として定着するなんてのは、度量の広さというか、心の奥底に沈殿しているもののねばっこい黒いものというか・・・日本人って複雑な人種ですね。

ちなみに写真を撮ったのが先週の金曜日、出来がイマイチなので本日の夕方撮り直しに行ったら、まさに解体中でした(T_T)

という訳で、もう見ることはできません。残念だと思った方、来年に期待しましょう。

日本版、真夏の夜の夢のお話でした。

 

 

コメント
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