道頓堀の『美津の』の帰り道、織田作之助の小説『夫婦善哉』の舞台、法善寺横丁に立ち寄りました。
千日前の商店街を横に入るのですが、入り口は普通の路地。でも、
進んでいくと急にレトロな風景に。お好み焼きやさんとか飲み屋さんとか並んでて、夜来ても楽しそう。
突き当りにいらっしゃるのが西向不動明王、通称「水かけ不動さん」。平日午後なのに、行列ができてます。観光客だけでなく、地元らしき人もちらほら。愛されている感じですね。
お不動さんのそばに矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)の脇侍が立っています。水かけ不動尊の名前通り、お参りの皆さまが盛大にお水をかけるので、ご覧の通り苔だらけ。
水をかける理由ははっきりとはわかりませんが、もともとはお供えの意味だったものが、ある時、水をかけながら必死にお願いごとをしている女性がいて、それ以来、願い事をする時に水をかけるのが一般的になったとか。
こちら小説、映画で有名な『夫婦善哉』の甘味どころ。当時のお店ではなく、その後新たにできたものだそうです。1人前なのにお椀二つで出てくるので「夫婦」ぜんざいなのだとか。
織田作之助の小説は読んだことないのですが、映画はとても良かったです。大阪の街並みが風情あるし、駄目駄目だけど憎めない森繁久弥の若旦那もとても魅力的。なんでかな~、てんでだらしないんですけどね。そのダメ男に尽くす芸者の淡島千景がキレイでホント色っぽくって、こっちは極上のいい女(笑)。これまたなんでかな~、惚れてるんですよね、ダメダメくんに。男女の機微の不思議な所です。
この辺りは昭和20年の空襲でそうとう焼けたみたいですが、いまは全くそんなことを感じさせません。商いの町らしく、活気と鷹揚さと少しのこすっからさにど根性が渾然一体となったところです。まさに人情で形作られた街なんだなと思いました。今度は善哉を食べに来ます!