犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

フィリピンあるある

2020-07-02 23:44:11 | フィリピン
 フィリピンのバギオで、ボーイフレンドと巣ごもり生活をしている3女から、朝早く、LINEが入りました。

「夜中に、お義父さんからD(ボーイフレンド)に電話が来て、お腹が痛いからすぐ来てくれって。Dが病院に連れて行ったら、盲腸らしく、すぐ手術するかもしれないって。私は家で待機している」

「それは大変!」


 3時間後の続報は、

「Dが今帰って来たけど、疲れ果ててる。午後、私の検診があるんだけど、行けそうにない」

 娘は今、Dの子どもを身ごもっていて、定期検診を受けているのです。

 そして、夕方、

「手術が無事に終わったって連絡が、今、病院から来た。14日間入院しないといけないんだって」

「14日!? 盲腸ってそんなたいへんな病気だっけ」

「ちがうよ。院内でコロナに感染した可能性もあるから、オペ受けた人は14日間入院しないとならないんだよ」

「その入院費は自己負担?」

「わからない」

「お義父さんはお金あるの?」

「ないと思う。コロナで失職したって言ってた」


 そして翌日。

「病院で食事が出なくて、お義父さん、昨日から何も食べてないんだって。Dが、お粥を買って届けるって、今家を出て行った」

「手術後すぐは食べちゃいけないんでしょう?」

「昨日はそう言われたらしい。でも今朝も食事が出なかったって」

「だからと言って、勝手に食べさせたらだめでしょう。お医者さんに聞いたら?」

「うん、Dにもそう言ったんだけど、お義母さんに聞いたから大丈夫って。お母さん、元ナースだから」

「でも、ふつうお医者さんに聞くでしょう」


「だいたい、お義父さんが何で自分で聞かないんだろう?」


 結局、Dは病院に入れてもらえず、警備員に、お粥、バナナ、ゲータレード、お菓子を託して帰ってきました。あとで病院に問い合わせたところ、朝ごはんを食べてよいことになっていたのに、病院のスタッフがお義父さんに食事を出し忘れていたことが判明しました。

「フィリピンあるあるだよ!」

 そして3日後、お義父さんはコロナ陰性の検査結果が出て、めでたく退院。14日間の入院という情報は何だったのか?

 入院費は24000ペソ(約52000円)。フィリピン人の平均月収が1万~2万ペソだから、かなりの高額です。

 ところが、これがなんと無料になったのです。公立の病院で、政府が全額負担するというのですね。コロナが原因で失職した人に対する支援のようです。

 今、フィリピンでは新型コロナが蔓延しています。特にセブ島がひどい。スラム街では、家が密集しているうえに大家族なので、感染者が出ると一気に広がる。医療崩壊が起きているそうです。

 その点、娘が今住んでいる、ルソン島北部のバギオは、いまだにトータル感染者数が40人以下。市長が厳しい政策をとっていて、住民も富裕層が多くて、きちんとルールを守る(守らないと逮捕される)。医療崩壊も起きていなくて、充分な医療を受けられ、患者もみな治って退院している。バギオはフィリピンの中でも、いちばんよくやっていると、大統領から褒められたそうです。

 娘がいるのがバギオで、本当によかったです。
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