先日知り合ったインドネシア人技能実習生Nさんと、焼き鳥を食べに行きました。私のインドネシア語のR先生もいっしょです。最寄りの駅での待ち合わせ時間のずいぶん前に、Nさんからラインが入りました。
「もう着きました。segaにいます」
(sega?)
約束した時間に行くと、R先生がいました。
「segaって知ってる?」
「さあ」
「あ、あれだ!」
ゲームセンターでした。中から、小さな人形をもったNさんが出てきました。
「UFOキャッチャー?」
「はい」
技能実習生のささやかな娯楽なのでしょう。
実は、R先生の昼間の勤務先は、技能実習生の受け入れ機関。焼き鳥をつまみながら、インドネシア語でNさんにいろいろ聞いています。
犬「Nさんはどんなところで働いているんですか」
N「工場です。自動車部品の」
犬「仕事はきついですか」
N「そうでもありません。機械が好きなので」
犬「日本での仕事は選べるんですか」
R「インドネシアに企業が募集に来るんです」
このあたりはR先生が詳しい。
R「応募者がそれぞれの会社に応募して、合格したり不合格になったりします」
(民間募集か)
犬「インドネシアに斡旋業者がいるんですか?」
R「Nさんの場合は、政府機関のようです」
(官斡旋っていうことね)
今、新聞で話題になっている、元徴用工裁判を思い出しました。
R「日本側の受け入れ機関も、しっかりしたところです」
犬「時給はいくら?」
N「よくわかりません。月給制なので」
住居費(寮)、水道光熱費は会社が負担し、手取りが月10万円ということは、前に会った時に聞きました。
N「それ以外に、会社が給料天引きで貯金してくれています。3年間が終わって帰るとき、60万円もらえます」
犬「60万円はインドネシアでは大金でしょう」
元徴用工裁判では、給料が天引きされて強制的に貯金されたけど、結局もらえなかったという証言がありました。いわゆる「未払い賃金」ですね。
Nさんのケースは恵まれたほうで、ベトナムなどの技能実習生では悪徳な斡旋業者に搾取されているケースもあるようです。
朝鮮半島から来た戦時労働者も、同じようなものだったのではないでしょうか。受け入れた会社の中にはめぐまれていたところもあり、ひどいところもあった。昔読んだ本には、恵まれていた徴用工のケースも読んだことがあります。
二次会はダーツバーのバグースへ。
Nさんは生まれて初めてやるというのに、ブル(的の中央の50点)を連発し、501で、最後の一投もぴったり数字を合わせて、勝利しました。
N「今日はほんとうに楽しかったです。また誘ってください」
別れたのは夜11時近くでした。
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