早起きです、旅先としては。
6時40分、空もようやく白み始めた頃、しばらく寝床でウダウダ微睡み続ける事ができるのも休日の特典です。
タルトタタンのホットサンドセット、という、朝の皿に生クリームが載っている少し毛色の変わったモーニングを頂き、コロナ禍でロビーからも取り除いたという新聞を買いに近所のセブンイレブンへそのままの格好で出かけると、それなりの寒さです。
耐寒第3レベルの装いで今日の京都歩きは始まります。
四条河原町からマルーンカラーの阪急電車で桂乗り換え松尾大社へ。
松尾さん、と愛称もついた京都最古の神社は8世紀初頭にはこの地に社殿が造営されたと由緒書きにあります。
霊泉•亀の井が湧く酒造の神様でもあり、各地様々の奉納酒が並びます。
新年を迎える準備を静かに眺められるのも、年末旅行のお楽しみです。
神社ではこれまで見たことのない御神像は、男神と女神が対をなして、しみじみ平安の世の信仰に思いを巡らせたりいたします。
鯨が潮を吹いたような雲がのび上がる御神体の山は、この何年間か少しずつ歩いている、京都一周トレイルの西山ルートの、夏に歩き残した後半戦です。
落ち葉をカサカサ踏み締め、歩き出しからそれなりの傾斜に息が上がりながら、250メートルほどの松尾山が第一目標地です。
愛宕山から比叡山へと、市内の北から東を見渡す景観ポイントで昼ごはんは、朝買ってきた進々堂のパンです。
ハムや野菜の具をしっかり受け止めてくれるパンは美味しい、でも止まると寒い冬の山、すぐに歩き始めて嵐山口に降りて今日の山歩きは6キロくらいで終わりです。
本日後半のお楽しみは、予約してきたヴォーリス建築のゆかしい建物が麗しい、北京料理の東華菜館です。
ガチャンと鉄の扉が開く、操縦士付きのエレベーターはこれだけだアトラクションになる日本最古のエレベーターだそう。
10品のコース料理は、旨味の凝縮を目指した内陸北京の地の味です。東京の近頃ではお目にかかったことのない一皿一皿に、ハイスピードで端を伸ばし続ける私たちでした。
伊勢海老びっくりの前菜盛り合わせ
蟹入りフカヒレスープ
海老団子と湯葉巻き
海鮮の強火炒め
大エビの唐辛子炒め
豚バラ肉の醤油煮込み
鶏肉と豚肉の中華パン包み
水餃子
メニューのデザートは餡入り揚げ餅だったのですが、リクエストしてサツマイモの飴煮、大学芋に変えて頂きました。中はホクホク、外はカリッ。作り立てならではの、口が大喜びするお芋スイーツです。
10品目の杏仁豆腐は、うっとりした気分のなかでレンズを向けることすら忘れておりました。
ご馳走様でした。
食べ過ぎの胃を休めるために、鴨川の夜風を浴びながら、遠回りのお散歩をして宿へ戻ります。