天気予報は午後から雨、というので早めに箱根湯本の宿を出て、バスで外輪山東側下の宮城野へ入ります。
登山口は午前9時すぎ。
熊鈴を鳴らして空の雲行きを見極めながら、早足の登山道は、これまた彼女の元気なこと!
目指すのは標高1169メートルの明神ヶ岳です。鞍部までは別荘地を隣に見る竹林を上がり、尾根に取り付けば背より高い笹の壁もそこそこに、時に巨岩やザレ場で絶景を得ながら、10時50分には山頂へ。
今日のお楽しみはここからです。
明神ヶ岳からの北西に目をやると、達磨越しの末広がりが一幅の絵画となって空を切り取ります。
流石に富士までは遠すぎるので、目標は達磨に見える金時山です。ただし誤算は、大展望のスカイラインと思い込んでいたのが、明神ヶ岳と金時山の間は深く削り取られたのか、はたまた金時が山頂だけを強く押し上げて大地に峻立したのかわかりませんが、
とにかくかなり降ってそしてまた上がる道が待っていた事です。
降りて下って上がって登る、みたいな重ね類義言葉も戯言に、ここでも彼女が天狗走りにご機嫌のご様子。時折、小さな花を見つけたのは、小春日和が続く霜月だからかもしれません。
2時間をノンストップで歩き通して、12時50分に標高1212メートルの金時山山頂に到着、冷気が大気の中に水滴を作り、やや雨の気配ですが、何とか天気はもった、と満足です。
小倉バタートーストと、昨夜の中華料理で持ち帰った焼き豚で元気を回復して、
すぐに下山します。
こちらでは、カエデの紅葉も輝いて、1時間程で仙石原北側の登山口に降りました。
仙石原では、定年になったらベネチアに行く予習になるからと勧める彼女に従い、ガラスの森美術館も周り、紀元前から積み重ねた技術の研鑽が生んだ、レース模様のデザインの面白みや、風に揺らぐシェイプの繊細さなども楽しみつつ、
山中に比べて観光客がずいぶん多いのに驚いたりもしておりました。
箱根湯本は途中までバス、渋滞しそうな宮の下からは登山鉄道に乗って16時40分に到着、
冷えて疲れた体を戻すためにもまずはお腹を満たそうと、各店がディナーを始める17時さえ待つのも惜しんで、
通し営業の、「はつ花」さんへ。
天ザルは、大きな海老2本が、蕎麦屋流の花衣をまとってバリリと食感良く、卵つなぎの独特のもっちり麺をたぐって、
宿の温泉を求めて飛んで帰りました。