日々ふさおまき

走って跳んで歩いてます。

つるべ落としか連凧か 早稲田

2020-02-01 16:14:00 | ふさおまき(オス)日記
今朝は早稲田大学です。




変わらぬ大隈講堂、振り返れば重信公。
今日は早稲田大学エクステンションセンターのセミナーを受けに参りました。
「勧進帳を解く」と題して、十代目松本幸四郎さまをゲスト講師に、高麗屋に伝わる弁慶の役に関する様々や、舞台に立っている人しか分からないお話を聞かせていただきました。
例えば。勧進帳の幕開きは花道から。義経一行のしんがりから、弁慶が声を上げます。「暫く」
花道での第一声は大層緊張するそうです。一身に注目を浴びる、と言うより、
後ろに壁のない花道で発する声は客席に吸い込まれて、自分には良く聞こえないそうです。
「こんなに小さな声しか出ないのか」と言う不安感だとお話ししていました。
子供で太刀持ちの時の思い、親の先代幸四郎と叔父の吉右衛門の教え方の違いなどなど。あっという間の90分、大学の時もこれほど興味を持って授業を聞いていたらと、反省をしようと言うものです。

終わってからは構内をぐるり、変わらないようでずいぶん建物が新しくなっています。
そして界隈もぐるり。こちらはもっと変わってしまって、知っている建物や店を見つける方が難しいかも。その少ない一軒、ラーメンのメルシーにはおそらく同じ思いでいるだろう年配の方が外に列を作る盛況ぶりです。
そんな少ない再会を古本屋や、和菓子のお店でいくつか果たし、そのステラなんぞも手に入れると、急に胸が締め付けられるようになるもんだから、
ああ、これが来し方を哀しむ思いというものなのでしょう。
過去を桶に入れて井戸の下に釣瓶落としするような、
遠い向こうに続く連凧が、風を孕んで空に伸びてもうどうしょうもなくなるような、
変な気持ちになった訳です。

丁度直前に、大学時代の友人とLINEで久々にやりとりしていた事もあって、
この界隈を後にして33年、ちゃんと自分は何者かになっているのかと、詠嘆する冬空のしみる青です。