伊藤智永『靖国と千鳥ヶ淵――A級戦犯合祀の黒幕にされた男』講談社+α文庫,2016年

著者は毎日新聞の編集委員。
本書は、敗戦時、44歳の帝国陸軍省高級副官だった美山要蔵(みやま・ようぞう)の生涯を中心に書かれている。
参謀本部内の編制のエキスパートとしての美山をとおして先の戦争を見(第1部)、敗戦後の軍の後始末を担当した復員省、厚生省の中心人物としての美山の視点から敗戦後の引き上げ援護、戦犯裁判、遺骨収集、慰霊について記されている(第2・3部)。とくに千鳥ヶ淵戦没者墓苑が設立された経緯、靖国神社への戦犯合祀に至る過程についての記述は興味深い。
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