中川浪子『聖イグナチオ・デ・ロヨラ――16世紀の偉大な巡礼者』中央出版社,1993年

日本人著者によるイグナチオ・ロヨラの伝記。イグナチオ・デ・ロヨラ(1491-1556)の生きた時代、ヨーロッパの中世封建社会から近代社会への大変換期であった。激動の時代に生き、イエズス会を創設し、同志聖フランシスコ・ザビエルを遠く日本まで派遣し、ローマ教会の援護者として活躍した聖イグナチオ・デ・ロヨラの敬虔な一生を、当時の社会と歴史を背景に記述されている。良書。

世界地図帳、世界史地図帳を手元に置き、本書を読みながら地図帳をめくるといっそう面
白い。文がやや長いのことがあるが、読み慣れれば気にならない。

【ご参照1】
越前喜六編『仕えるために――イエズス会の歩み』サンパウロ,2007年,pp.33-58
ホアン・カトレット著/香田潤志訳「イエズス会創立者 イグナチオ・デ・ロヨラ――神の栄光を求める人」
の記述も簡明でよい。

【ご参照2】
ウィリアム・バンガード著/上智大学中世思想研究所監修『イエズス会の歴史』原書房,2004年,pp.1-51
「第一章 創立者とその遺産」(若きイグナティウス・デ・ロヨラ パリとローマでの日々 初期の発展 学校 海外宣教 晩年のイグナティウス 結論)
の記述も参考になる。

【ご参照3】
イグナチオ・デ・ロヨラ著/門脇佳吉訳・解説『霊操』岩波文庫,1995年pp.27-37
の門脇佳吉氏による「解題」中の「3 『霊操』の著者イグナチオ・ロヨラとはどんな人物だったか」
は、イグナチオが『霊操』を著すまでの生涯を3期に分けて記述している。以上
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