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Keane / Night Train

2010-06-09 | music : favorite


音楽ネタが少なくなっている昨今のこのブログだが、久しぶりに新譜を購入。
Keane(キーン)が昨年のツアーの合間に制作した(いつの間にって感じだ)、8曲入りのEP 『Night Train』。
このタイトル、国内盤では 『夜行列車』 というそのまんまのベタな和訳なのだが、実はKeaneは相当の鉄チャン。オフィシャル・サイトでのドラムスのRichard(リチャード)のフォト・ブログでは、以前から列車や車内のツアー写真がたくさんあったのだが、このEPはジャケットのイラストはもちろん、ブックレットの写真も電車づくし。でも、曲の内容は電車とは全く関係ない。
今回、このEPがリリースされるというニュースを、オフィで知った時に驚いたことが2点ある。ひとつはアフリカ・ソマリア出身のラッパーK'NAAN(ケイ・ナーン)とのコラボ、もうひとつはなんとYMOの名曲 『以心伝心』 のカヴァー。
K'NAANについては全く知らないので、曲を聴いてみないことにはどんな仕上がりになるのか想像もつかなかった。
『以心伝心』 は、サビの部分のみうろ覚えという程度だったので、YouTubeで聴き直した。一昨年のLive Earthなどライヴでは、英詞のコーラス部分以外はインストでプレイしているが、元々は日本語詞が入っている。果たしてその部分はどうなるのか?と思っていたら、Tigarah(ティガラ)というL.A.を拠点に活動している、日本女性ラッパーが歌うということがわかった。と言っても、そのTigarahもこの時初めて知った名前だった・・・。

オープニングは、ライヴでメンバーがステージに登場する時に流れるSEとして使用されている曲 「House Lights」。
ティンパニの音がズーンと響き、ピコピコサウンドと壮大なシンセのインストで幕が開ける。
その流れでダイナミックなイントロで始まるM-2 「Back In Time」 だが、Tomの歌に入った瞬間、優しい音になる。いつ聴いてもどの曲でも美しく透き通っているTomちんの声の後ろで、イントロと同じフレーズのシンセのアレンジが、後半になるとかなりダイナミックにとどろく。
M-2 「Stop For A Minute」 が、出来映えドキドキのラッパーK'NAANとのコラボ曲。“Oh~Oh~” とTomちんの高らかなおたけびから始まり、メロディもgood。ミドル・テンポで、ハンド・クラップが入って乗りもいい。
K'NAANのパートに入っても、最初はメロディに乗って普通に歌っているので、何ら違和感はない。サビでTomとデュエットし、2番ではTomとパートが入れ替わる。なかなかいい感じだ。そして、CメロでK'NAANのラップ登場。その後ろで、イントロのTomちんのおたけびが響く。息もピッタリで、こんなに合うとは思ってもいなかった。もう、すっかりお気に入りだ。
M-3 「Clear Skies」 は、ハンド・クラッピングとアコギのサウンドが映え、ノスタルジックなメロディ・ラインが印象的なナンバー。
さて、いよいよM-4 「Ishin Denshin (You've Got To Help Yourself)」 の始まり始まり~。アレンジは殆んど原曲どおり。この曲はサビ・メロからの始まるのだが、Keaneヴァージョンもポップで爽やかですっごくいい! 
となると、果たして日本語部分はどうか・・・。う~ん.....良くもなく悪くもなくと言った感じかな。Tigarahの声は、ちょっと舌ったらずな甘えた声で、Tomちんのパートで感じた爽やな青空が一変して、とろ~りしたシロップのようなまろやかさになるというような感覚。
YMOのように、日本語詞の部分はなしにして、インストにしても良かったかも。でも、敢えて日本語を入れるというのも、Keaneの新しいチャレンジなのかも・・・。
YMOを好きで聴いているのはキーボードのTimで、Tomは今回この曲をやるまで聴いていなかったとインタビューで言っていたが、何はともあれ、日本の曲がこんな形で発表されるというのはとても嬉しいこと。しかもUKチャート1位だし。
そのTimが、オーソドックスなエレクトロ・ロックM-6 「Your Love」 でVo.をとっている。曲を作るのはたいていTimだが、いつもコーラスばかりなので、メインVo.を聴いたのは初めて。Tomの抜けるようなVo.とはまたひと味違って、TimのVo.もなかなかいい。後半メロディ・ラインが変化して行って歌い上げるところなんて、とっても甘い声を聴かせてくれる。
初めて聴いた時はぶったまげ、やがて “おいおい” と突っ込みたくなったのが、M-7 「Looking Back」。「ロッキーのテーマ」 のほぼまんまの、あのトランペットのメロディが流れてきたのだ。まあ、最初の部分が同じなだけなのだが、インパクト強すぎ。
途中でもその 「ロッキーのテーマ」 が流れてくるので、ついついそっちに耳が行ってしまう。この曲もK'NAANとのコラボで、ラップが入っているのに流れるようなメロディで、とっても気持ちいい曲だ。
最後は、しっとりとしたナンバーM-8 「My Shadow 」 で締めくくる。この曲は、3rdアルバム 『Perfect Symmetry』 の国内盤ボートラとして収録されていた曲なので、お馴染みの人もいるだろう。これまでのKeaneにいちばん近い、ある意味最もKeaneらしいとも言えるピアノ・バラードで、「Bedshaped」 や 「A Bad Dream」 を彷彿させる。


★アルバムとはひと味違う、アコースティック・セッションの 「Stop For A Minute」 Feat. K'NAAN。