教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

青の6号と魂の雄叫び

2009-09-12 00:00:00 | オタネタ全般
某blog(※1)で青の6号ネタやってたので、ひさびさにまた見たくなったので見直してみた。
もうぼちぼちできてから10年くらいになる作品である。



話は少しさかのぼったところから始めよう。

もともと青の6号を見る前からGONZOという名前だけは見たことはあった。
ゲームのクレジットに時々GONZOというロゴが出ていたからだ。

それらのゲームは、ムービーシーンを含めた作品の雰囲気の出しかたにとくに気をつかった作品が多かった。
ただ、それがGONZOと関係があるかどうかについては当時は知る由もなかった。
当時は気にもしていなかったから、残念ながらどのゲームがそれだったのかをもうほとんど憶えていない。



そしてそのGONZOがアニメ屋だとわかったのはとある偶然によるものだった。

レンタルビデオ屋で
「なんかおもしろそうなOVAないかな・・・」
と物色していたときだった。
(そういえば当時はDVDなんてのはレンタルしてなくて、今やなつかしのアナログ磁気テープだったなぁ。)

本当に何となく手にとった。
青の6号とはそんな出会いだった。

家に帰ってレンタルしてきたビデオを再生した。
これには度肝を抜かれた。
再生してすぐに始まる3DCGで描かれた波の質感から潜水艦から何から、映像の美しさに惚れこんでしまった。

そしてよくよく見てみると、クレジットはGONZOとなっていた。
「そうか、GONZOはアニメ屋だったのか・・・、だからあのゲームたちはムービーシーンで格別にいい雰囲気を出していたのか・・・」
と、そのとき改めて納得した。
既にこのときにはGONZOファンになってしまっていた。

全盛期には年に8本のアニメを抱えられるにまで成長したが、当時は完全に無名だった。
作品がOVAで、しかも無名作品のOVA化(当時は原作のマンガなど知らずアニメがオリジナルだと思っていた)だったのだから、なおさら出だしは無名だった。

ひところわたしは青の6号の素晴らしさについて良く語ってみたものだが、誰にも相手にされなかった。
アニメの消費量が多いエヴァンゲリオンのファンの人たちでさえ
「なにそれ? そんなの見ねえよ」
という有様だった。
そのうちにわたしは青の6号について語るのをやめた。

しかし、あれだけの作品を生み出せる会社が、ただの無名な零細企業なままで終わるはずもなかった。
なかには当時にしてみれば青の6号のGONZOらしからぬと思うような作風の作品もあったと感じたのも事実だが、アニメの製作本数は年を追うごとにどんどん増えていった。

後の会社の成長っぷりを見るかぎりにおいて、わたしの目に狂いは無かったと確信した。
そのときはちょっぴり誇らしく思ったものだ。
(さらにその後には債務超過で上場廃止になってしまい、ある意味わたしの目はフシアナだったとも言えるのだが、まあそれはおいといて)



さて、いま改めて青の6号を見直してみて新たに感じることもある。

良くも悪くもラストエグザイルやサムライ7を作ったGONZOの原点がここにある。
さらに言うと、ガイナックスの不思議の海のナディアに対してのカウンター作品のように見える。

まずナディアも青の6号も、どちらも超科学で作られた潜水艦での戦闘をテーマにしたSFという、同じ土俵で作られている。
今にして思えば、これはわざとなのではなかろうかと勘ぐってしまいたくなるところである。

ようするに、
「オレたちならこうするんだ!」
と世間に主張したいがために、あえて同じ土俵にしたのではないかと思うわけだ。

ナディアと青の6号は一見似てはいるかもしれないが、実は共通点はそれくらいしかなく、他はことごとく別物に作られている。


ナディアでは、世界征服をもくろむ悪の組織を率いる巨悪のボスと大戦闘をくりひろげ、結局のところ暴力で最終的解決をはかる。
青の6号では、暴力をもって悪の組織を滅ぼさんとする味方を止め、最後は話し合いで解決する。


ナディアでは、誰だかよくわからんような人の作った超兵器を使って、誰だかよくわからんような悪い人たちと戦う。
青の6号では、かつて人の造ってしまった超兵器を使って、人の造ってしまった人ならざる者たちと戦う。


ナディアでは、SF作品でありながら人物描写に非常に力を入れていて実に燃えに萌える人たちが出てくる反面、メカや背景の作画自体には大して興味を引くほどのものでもない。
青の6号では、メカや背景の3DCGが声も出ないほど美しい反面、他のGONZOのSF作品に多いように描かれた人物の印象がイマイチ希薄なままになっている。


ナディアでは、戦闘シーンでは戦闘そのものよりも艦内のクルーの悲喜こもごもが見せ場になっている。
青の6号では、戦闘シーンでは戦闘する兵器の美しさと3次元空間で戦う広がりを持った戦術そのものを見せ場にしている。

これらは、極端なことを言ってしまうと、2つの主張があるように思える。

①②からは、子供むけアニメのような勧善懲悪的なものを作ることに対して「否!」と言い、もっといい歳こいたオトナが見てもおもしろい作品を作らんとする事。
③④からは、SF作品において人物描写で勝負することに「否!」と言い、SFでは世界観やメカや戦闘そのものの描写のほうが本質であると主張する事。

それもそのはず、不思議の海のナディアに対してのカウンター作品のように見えるのも当然だ。
不思議の海のナディアのスタッフの何人かが放送後に抜け出して作った会社がGONZOで、しかも自前で作った最初のアニメが青の6号なのだからだ。

ナディアの監督はかなり個性豊かではあるものの、反面かなりワンマンな感じがする人物でもある。
クリエイティブに生きる情熱的なスタッフたちは、そこではやりたい事を却下されて不満に思っていたかもしれない。

だから、新たに会社をおこし
「オレたちならこうするんだ!」
という魂の雄叫びをそこに織り込んだようにも見えてしまうわけである。

今やGONZOには創業当時のメンバーはほとんど残ってはいない。
彼らは新天地を求めて別の場所で勝負を挑もうとしている。
彼らはこれからいったいどんなものを作りにかかるだろうか。

青の6号で受けたの同じくらいの衝撃を与えてくれることに期待したい。
創業メンバーかつ元社長のおこしたΛ FILM(※2)はその中でも特に注目すべき存在であろう。



追伸:

今回はアンチ不思議の海のナディアっぽくなってしまったが、わたしはナディアも青の6号も両方とも大好きだ。
それに、今回は違うところばかりピックアップしてみたが、細かいことを挙げると共通点もかなりたくさんある。
一応それらは過去記事で書いたことがあるので、そちらを参照ねがう。

ナディアとラストエグザイルの共通点
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090605

ホントはすごいナディアのガーゴイル
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090420

ノーチラス号の外装のヒミツ
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090427



【※1 某blog】

個人就活ブログ ...
http://japanimation.blog72.fc2.com/



【※2 Λ FILM】

Λ FILM
村濱章司
http://www.lambdafilm.co.jp/