「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

まだ温もりがあった「としよりの日」の時代 昭和館のポスター展

2017-03-11 08:23:40 | 2012・1・1
戦中戦後の昭和のくらしを展示している東京九段の昭和館から、僕が数年前寄贈した戦争中の東部軍管区情報情報のカードを展示したと連絡があった。このカードは、敵機の帝都侵入に備えて市販していた地図だが、当時誰もが所持していた。(写真)都民は、ラジオで警戒警報が発令されると、このカードを見ながら敵機がどこへ侵入してくるか見守ったものだ。

昭和館では今日11日から始まる特別企画展、「ポスターに描かれた昭和-高橋春人の仕事」の内覧会を開いており、僕はこれも観覧出来た。高橋春人氏(故人)が戦中から戦後にかけて描いた約160点の公共ポスターが展示されているが、その時代、時代を反映していて、ほぼ同じ時代を生きてきた僕には興味深かった。

なかでも、高橋氏の描いた「としよりの日」の広報ポスター3枚(写真)が、忘れかけていた当時を想い起こさせてくれた。いずれも昭和20年から30年代の作品だが”長生きしてね、みんなでろうれい(老齢)年金””明るい老後を 9月15日”。まだ、「敬老の日」ではなく、「としよりの日」が9月15日に固定されていた時代だが、作品には、年寄りへのいたわりがあり、年寄りへの温もりがある。調べてみたら当時の日本人の平均寿命ははまだ、男性65.32、女性70.19歳であった。(昭和35年)今のように核家族ではなく、親子孫三代家族が当たり前の時代だったのだ。ポスター展の展示には、その時代、養老院といわれた老人施設の写真も展示されていたが、老人たちには笑顔さえ見られる。超高齢化時代、考えさせられるものがあった。