「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

超高齢化時代の悲劇 平均寿命は延びたが

2017-03-20 06:07:56 | 2012・1・1
厚労省から最新(2015年)の日本人の平均寿命が発表された。女性は86.99歳、男性80.75歳でいずれも過去最高、先進G7国の中では最長である。20年前の1995年前には女性82.85歳、男性76・38歳にすぎなかった。すごい伸び方だが、ただ手放しで喜んでばかりいてよいのであろうかー。

つい先日、高知県宿毛(すくも)市で夜中火事があり、火元とみられる家から99歳と90歳の老夫婦の焼死体が発見された。二人とも足が悪く逃げ遅れてしまったようだ。平均寿命をはるかに超えたご夫婦なのに、なぜ老人施設に入らず、介護の家族もおられなかったのだろうか。新聞はその詳細は書いていないが悲劇である。

宿毛市は宿毛湾に面する黒鯛など大物釣りの名所で、湾に沈む大きな”だるま太陽”が有名な人口2万人ほどの地方の典型的な小都市である。ネットで調べてみたら、宿毛市には特別養護老人ホームを初めグループホームまでいれると12も施設がある。亡くなられたご夫婦の介護程度は判らないが、何故施設に入居できなかったのであろうか。

国は全国的な病院ベッド不足もあって、在宅介護を推進している。その柱として「在宅支援診療」(在支診)の拡充を進めているが、思うようにいっていないようだ。宿毛の、この老人夫婦の場合はどうなったのであろうか。90歳を超えた長寿のご夫妻である。出来れば宿毛湾に落ちる真っ赤な”だるま太陽”の一生を終えられたかったのではなかろうか。平均寿命は延びたが、考えさせられる問題である。